2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J20008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森山 倭成 神戸大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 省略現象 / 空項 / 動詞エコー返答文 / 分裂文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の「省略を許さない要素及び日本語省略現象の包括的研究」は本年度が初年度にあたる。本研究の目的は (a) 日本語の空項現象における解釈の記述と (b) 日本語省略現象一般の包括的説明である。本年度は日本語の省略現象一般に関する言語データを整理し,省略現象に関わる諸問題に対して解決策を与えるために土台となる理論的考察を行った。省略現象の中でもとりわけ空項現象,動詞エコー返答文,分裂文が基底構造となる省略文を中心に考察を進め,それぞれにいくつかの進展があった。まず,空項現象は取り立て詞とのインタラクションがある場合に,省略箇所に取り立て詞の解釈が得られるものとそうでないものがあることが明らかとなった。また,これに関連する内容を国内学会で発表した(The 12th ELSJ International Spring Forum)。次に,動詞エコー返答文と呼ばれるyes-no疑問文に対して動詞のみで答えるようなタイプの返答文に空項現象が関与することを指摘し,この内容を国内のワークショップで発表し,主に意味論を専門とする研究者たちと意見交換をした (Prosody and Grammar Festa 4)。最後に,省略現象だけでなく,日本語の句構造を明らかにするために,他の構文についてもデータを広げて考察を進めている。以上のように,本研究課題の目的を達成するための言語現象の基本的な考察と理論的道具立ての整理を行い,その成果が現れつつあるというのが本研究の実施状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は空項現象とエコー返答文,および分裂文が基底構造となる省略文を中心に考察を加え,このうち空項現象とエコー返答文については順調に成果が現れ,研究発表をおこなうことができた。また,分裂文が基底構造となる省略文との関連で,焦点化が関与する文の句構造に関する新たなデータが観察された。以上のことから,本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を土台として,研究計画を進展させる。次年度は現時点までの成果を発展させ,学会発表や論文執筆につなげる。
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