2020 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリ検出への応用に向けた陽子酸素・炭素反応ガンマ線生成の研究
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19J20077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
須藤 高志 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 超新星ニュートリノ / 巨大共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究は論文出版に向けて実験データの解析を進めた。 酸素原子核と陽子の散乱断面積に含まれる準弾性散乱断面積の理解を進めるために、過去の測定結果を利用し散乱断面積をspin-flipとnon-spin-flip成分に分離し主要成分であるGDRの大きさを理解した。また、昨年度求めたガンマ線放出率に含まれるα崩壊の成分の大きさを求めた。 Non-spin-flip成分は、GDRの成分が主要であると考えられるため、酸素原子核の光吸収断面積を電磁相互作用断面積に仮想光子を計算する事で変換し比較した。結果、励起エネルギー22-28MeVの間で良い一致を得た。それ以下の励起エネルギーでは、後述するα崩壊の成分が多く、それに起因したガンマ線が放出されている。それ以上の励起エネルギーでは、実験結果と計算結果が一致せず、準弾性散乱の影響であると考えられる。 Spin-flip成分は、アイソベクトル成分が主要であると考えられるため、フッ素の荷電交換反応のspin-flip断面積成分に対して、Clebsch-Gordan係数を計算すし比較した。結果、二つのspin-flip断面積は良い一致を得る事ができた。 α崩壊の成分は、酸素16からα崩壊を経て、炭素12の第一励起状態へ遷移し、そこから放出される4.44MeVのエネルギーのガンマ線で測定される。この成分が測定されている励起エネルギー16-20MeVには、他に4.44MeVのガンマ線を放出するものは存在しない。その為、4,44MeVの成分を取り除く事でα崩壊の成分を評価した。α崩壊の成分は、ガンマ線放出率に対して、励起エネルギー16-20MeVの領域において20-30%寄与することを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の計画は、本来の計画が昨年度から続くコロナウイルスの蔓延の影響で実験計画が遅れている。そこで新たに、実験データを論文にまとめ、実験データ取得後に解析を迅速に進める為に、検出機を解析するためのソフトを準備する事を目標とした。既存の実験結果を今年度中に論文としてまとめる事は叶わなかったが、論文出版に向けて大きく解析を進める事ができた。また、これらの解析手法は、検出器の解析ソフトに応用できるためやや遅れがある程度であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の計画では、新たに取得したデータの解析を進め、それを論文としてまとめる事であった。しかし、コロナウイルス蔓延の影響で、新たなデータの取得が叶っておらず、新しいデータを論文としてまとめる事は難しい。そこで、既存データの論文投稿し、実験を行い、超新星ニュートリ測定に応用できる新たな測定データの取得することを考えている。また、解析ソフトが完成している事が想定されるため解析も終える事ができると考えている。
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Research Products
(1 results)