2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the influence of gait-like motion on an wheeled android moving in the real environment
Project/Area Number |
19J20127
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 聡明 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | アンドロイド / ヒューマノイドロボット / 移動ロボット / ロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
実環境でのロボットの移動には,センサの不確実性や人の挙動をモデル化しきれない点から,実在の身体が環境に及ぼす作用を積極的に考慮・活用しなくてはならない.本研究では,人に酷似する外見を持ち,46自由度の関節により人同等の身体動作が実現可能な車輪移動型アンドロイド「ibuki」を開発した.10歳男児の小柄な体型サイズを保ちつつ,車輪移動と表情・身体表現により円滑な人とのインタラクションを可能とすることを目指した.また,ibukiの車輪移動機構内部には,上半身を揺動させる直動関節機構を搭載した.本機構によって移動時に車輪移動ながらも見かけ上の質量中心位置は人の歩行時と同じ軌道を描くことができる. 前年度に引き続き,人の感情表現を伴う歩行動作をibukiで表現し,それを見た観察者が表現される感情を知覚可能かオンラインによるアンケート調査を用いて確かめた.開発した移動台車の直動関節によって上半身を揺動させた条件の歩行動作では,観察者は高い認識率で喜びの感情表現を知覚していた.また,感情認識の際に高い確証度で回答していたことが分かった. それと並行して,人とロボットの歩行相同期の検証のために長時間安定して動作可能なibukiの新たな移動台車を開発した.3Dプリンターによる一体成型部品を積極的に採用することで高剛性かつ軽量な機構を実現した.また,実験時に電子基板やモーターが発熱し動作が不安定になることを防ぐための冷却機構を設計した.今後は,実際にibukiを動作させて共に歩く人の歩行相が同期し得るかを実験で確かめる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き,人の感情表現を伴う歩行動作をibukiで表現し,それに対する人の知覚をオンライン上でのアンケート調査を用いて確かめた.大規模な数の回答を得ることで,提案機構を用いた上半身が揺動する歩行動作では,観察者は感情によっては比較条件よりも高い認識率と確証度で感情を知覚していることが分かった. また,人とロボットの歩行相同期の検証を目指して.長時間安定して動作可能なibukiの新たな移動台車を開発した.これまでに開発してきたモデルは,実験中にモーターがオーバーヒートし制御が不安定になる欠点があったが,新型の移動台車では3Dプリンター部品を用いた高剛性かつ軽量化の実現と,大規模な冷却機構による電子基板やモーターの発熱対策によって,実験を想定した時間中は安定して動作することを確かめている.人とibukiの歩行相が同期し得るかを確かめるために,現在は全身システムの統合と実験時の安全性を検証しており実験開始までいくらかの時間を要することが想定される.
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Strategy for Future Research Activity |
人とロボットの歩行相同期の検証のために長時間動作可能な新型の移動台車を用いて参加者を募った実験を開始する.実験を通じて,車輪移動型アンドロイドでも上体を揺動させて歩行のような動作を表現することで,実環境で人通しに見られる歩行相の同期が人とロボットの間で誘発されることを検証する.
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