2020 Fiscal Year Annual Research Report
個人情報保護と推定精度のトレードオフ関係及びそれに関連した量子効果の数学的解析
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19J20161
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 裕哉 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 最適化 / 量子状態 / 差分プライバシー / 状態識別 / 一般確率論 / capacity / product basis |
Outline of Annual Research Achievements |
全てを正確に記すのは難しいので, 適宜簡略化して記載する. 2020年度は主に次の3つを調べた: (1)古典的データXを量子状態に変換した場合の差分プライバシー (古典量子DP), (2)近似量子論における2状態完全識別, (3)一般確率論 (GPTs) の容量 (capacity) に関する主張. まず項目(1)について述べる. 以下, Xを別の古典的データに変換する場合の差分プライバシーを古典DPと呼ぶことにする. 2019年度はXが2値の場合を調べ, 古典量子DPは古典DPと本質的に変わらないことを明らかにした. そのため2020年度は, Xが3値以上の場合を調べ, 古典量子DPと古典DPが本質的に異なることを示した. 次に項目(2)について述べる. 量子状態の種類がある程度特定される場合に, 量子論の枠を超えて, 2状態の識別精度を調べた. 従って, この研究で得られる識別精度の限界は, たとえ量子論が少々間違っていたとしても有効である. 2019年度から2020年度にかけた研究で量子論に近いモデルを調べ, 2状態を識別するための十分条件を示した. 最後に(3)について述べる. 一般確率論は量子論や古典確率論を含む一般的な枠組みである. 以下, 一般確率論における1つのモデルを表したいときは, GPTと記す. 各GPTには容量という正の整数が一意的に定まる. QIT37の松本と木村の講演によると, separable ballという道具を使えば, 特殊なGPTの容量を導出できる. そのため, separable ballに関する主張 (主張S) を調べたいが, 現状それは難しい. そこで私は, 主張Sを弱めた主張を調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
項目(1)の結果はまだ査読中であるが, 項目(2)と(3)の結果は論文誌に掲載された. 私は項目(1)から(3)以外にも研究に役立ちそうな純粋数学の手法を勉強しているが, その過程で得た結果も論文誌に掲載された. このように, 当初の計画以上に研究は進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
項目(1)の研究により, 研究課題の主目的は達成された. 項目(1)に関しては, もはや数学的に難しい問題しか残っておらず, 残り1年で何か結果を出すのは難しい. そのため, 2021年度は特定の性質 (情報処理において有用な性質) に関する研究をする予定である. 純粋数学の手法は問題解決に役立つため, 並行して純粋数学の勉強も行う予定である.
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Research Products
(11 results)