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2020 Fiscal Year Annual Research Report

大型液体シンチレータ検出器によるニュートリノのマヨラナ性の検証

Research Project

Project/Area Number 19J20340
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

亀井 雄斗  東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2022-03-31
Keywordsニュートリノ / 二重ベータ崩壊 / 液体シンチレータ / 素粒子実験
Outline of Annual Research Achievements

近年の研究成果からニュートリノの性質が解明されつつあるが、その質量の絶対値やマヨラナ性の有無といった性質は未解明のままである。ニュートリノのマヨラナ性に関しては、未発見な稀少事象であるニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の探索が現実的な唯一の手法となっている。
本研究では、大型液体シンチレータ検出器 KamLANDを用いて、キセノン 136のニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊事象を探索するKamLAND-Zen 800 実験を進める。神岡地下の極低放射能環境下で行う本実験であるが、いまだに発見されない稀少事象の観測を実現するためには、さらなるバックグラウンドの理解・低減が重要となる。当該年度では、実験装置の低放射能化では原理的に除くことができない宇宙線ミューオン由来のバックグラウンドに注目し、そのバックグラウンド事象を解析により除去する手法の開発を進めた。宇宙線ミューオンは0.3 Hz程度でKamLAND内に入射し、液体シンチレータの主成分である炭素原子やキセノン原子の原子核を破砕して不安定核を生成することが分かっている。まず、炭素原子との核破砕反応により生成される半減期が最大 30秒程度と比較的短い不安定核種によるバックグラウンド事象の除去開発を行った。ミューオン、中性子捕獲事象と不安定核種の崩壊事象の 3点同時遅延計測と中性子捕獲事象が観測されなかった事象に対して核破砕に伴うシャワリング現象を利用した尤度関数による最尤法とを組み合わせて、95%程度の除去効率を達成した。また、検出器の状態が時間変化するため、取得するタイミング情報が現状の較正ではズレが生じていた。そこで新たな時間情報の校正を加えることで事象位置再構成の精度の改善を行った。これにより、前述の宇宙線ミューオン由来のバックグラウンド除去の効率向上も期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

宇宙線ミューオンが原子核を破砕して生じる不安定核種がKamLAND-Zen 800実験で大きなバックグラウンドとなっている。本研究では、この事象の除去手法開発を進めた。ミューオンは液体シンチレータの主成分である炭素原子12Cを破砕し、様々な不安定核種と中性子を生成する。不安定核種のうち、最も寄与が大きいのは10C(寿命27.8秒)で、従来はミューオン・中性子・10Cの三重遅延同時計測のみで除去されていた。しかし、ミューオン飛来直後はその大きなエネルギーにより、検出装置が不安定となるため、中性子事象の取りこぼしが存在する。そこで、さらなる感度向上のためにミューオンのエネルギー損失を用いる新手法が有力視され、開発を行った。原子核破砕事象の尤度関数を導入し、より最適な事象の選択を行いながらエネルギー損失と不安定核種の崩壊位置との相関を利用して除去を進めた。その結果、三重遅延同時計測と合わせて95%程度の除去効率を達成し、バックグラウンド低減に貢献した。

Strategy for Future Research Activity

ミューオンによる原子核破砕生成物は、炭素原子由来だけでなくキセノン原子由来のものも存在する。こちらは寿命が日単位の核種が多く、炭素原子由来のバックグラウンド除去手法を単純には適用できない。この事象の理解と除去手法の開発を進めていく。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] How to reject spallation backgrounds by cosmic-ray muon in KamLAND2020

    • Author(s)
      亀井雄斗、蜂谷尊彦
    • Organizer
      NEUTRINO2020
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] KamLAND-Zen 800:宇宙線ミューオンによる核破砕反応での不安定核種生成量の評価2020

    • Author(s)
      亀井雄斗
    • Organizer
      日本物理学会2020年秋季大会
  • [Presentation] KamLAND-Zen:バックグラウンドの評価2020

    • Author(s)
      亀井雄斗
    • Organizer
      日本物理学会2021年春季大会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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