2020 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding computational and neural mechanism of human meta-motor learning to improve motor rehabilitation
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19J20366
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉山 太成 筑波大学, グローバル教育院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 運動学習 / メタ学習 / 強化学習 / 計算論 / 神経科学 / 運動リハビリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究成果は以下4点である。(1)本研究に関する論文の査読プロセスにおいて、当該領域の専門家に指摘された問題点について、次の二点の対策を行った。a)メタ学習効果の汎化性検証が不十分であり、既知の学習メカニズムによる変化の可能性を否定できないという指摘に対し、実験パラダイムを再吟味し、より精密な検証を行うと共に、これら対立仮説の検証を行えるよう、新規被験者合計100名程度を用いてパラダイムの改善を行なった。b)計算論モデル式にノイズ項が含まれていない事などによる、実験データ解析・学習パラメータ推定手法のロバストネスに対する懸念に対し、ベイズ確率モデルを用いた別の手法による解析・推定を試行し、元の解析結果との比較による、ロバストネスに対する検証を行なった。(2)計算論モデルの改善を行い、メタ学習の学習率の変化プロセスを強化学習アルゴリズムにより表現した。またこのモデルを用いたシミュレーションを行い、本研究のこれまでの実験結果や先行研究結果と比較し、モデルを評価した。(3) 脳梗塞患者を対象とした検証実験を進めた。具体的には患者3名から本実験の初期データを収集し、また使用手(利き手)とメタ学習効果の推定に関する検証を健常者6名を用いて行なった。(本実験では脳梗塞患者の非麻痺側を使用手に定めており、使用手をコントロールできないため、この追加検証を行なった)(4)これまでの研究実験結果をプレプリント(査読なし)論文として出版し、これまでに4回引用された(2021年4月時点)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は人の行動実験と計算論モデルを組み合わせた手法を主軸としているため、COVID-19により共同研究を含めた新規被験者実験が停滞し、そのため大幅な計画の修正が必要となった。年度前半では被験者を伴わない研究活動(実験データ解析手法の見直しなど)に集中し、その後COVID-19の様子を見つつ徐々に被験者実験を再開した。このため当初の計画ほど実験データ収集を進める事はできなかったが、代わりにデータ解析手法、計算論モデル、および行動実験パラダイムに関して、当初予定していたよりも深く吟味、検討する事ができた。以上の事から研究全体の進捗としては遅れが生じているが、部分的に当初の計画よりも進められた点があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
極力当初の計画であった三つのアプローチ(心理行動実験、脳刺激/撮像実験、患者と健常者の比較実験)による運動メタ学習の特性と神経基盤の理解、および運動リハビリへの応用を目指すが、引き続きCOVID-19の様子を見つつ、適宜計画を調整しながら本研究を進めていく。健常被験者のデータ計測については、出来る限り少数の被験者で済むように実験パラダイム等の調整を行い、研究結果を論文にまとめ発表する。また患者実験とリハビリ応用については、あらかじめ共同研究先(病院)での実験・会議等には参加できないものと見なし、リモートのみにより進めていく。
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