2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J20405
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堺 雄亮 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 粒子群最適化手法 / 大変形解析 / ベンディングアクティブ構造 / グリッドシェル / 負のポアソン比 / 形状設計 / 機構設計 / 離散微分幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、従来の四辺形の格子とは異なる負のポアソン比を持つ格子を用いたオーゼティック・ベンディングアクティブ・グリッドシェル (ABAG)の最適設計法を提案した。最適化問題として、離散微分幾何学で定義される離散ガウス曲率を最大化することで、四辺形の格子を持つグリッドシェルでは生成するのが困難な形状を持つ曲面を設計した。最適化手法には発見的手法である粒子群最適化法を適用している。当該研究の成果は、国際論文誌に投稿中である。 また、上記の設計法を発展させたABAGの格子形状の設計法を提案した。具体的には、(i)各格子の幅に重み係数を乗じる,(ii)異なる位相の格子を混合させる,(iii) (i)と(ii)を併合させる,という3種類の操作で格子に非周期性を与えた。これらの格子で構成されるABAGの大変形形状をパラメトリックスタディにより検証した。加えて、当該格子設計に対し、上記の最適化手法を適用したABAGの設計法を開発しており、成果は2021年度の国際シンポジウム等で発表予定である。 さらに、負のポアソン比を持つABAGの変形性状を活用した円筒形の変形機構に関する研究に着手した。計画当初は、制振ブレースのように、地震動等の外乱に抵抗する変形機構の開発を想定していた。しかし、形状設計した機構の力学特性が十分な制振性能を満たさないことが判明した。制振性能の向上を目標としてデータを採取し続けたが改善が見込めなかったため、研究方針を、製作性に優れた円筒機構の形状設計法の考案へと変更した。6 月よりプログラムの作成を開始し、1 月に概ね完了している.2 月から現在にかけて,データの採取、ならびに、シンポジウムの梗概執筆およびジャーナル投稿用論文の執筆を継続している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、柔軟な変形機構を有する構造物であるオーゼティック・ベンディングアクティブ・グリッドシェルの最適化手法の開発および論文執筆を行った。研究の成果は、2020 年度日本建築学会近畿支部研究発表会、日本応用数理学会2020 年年会に発表しており、国際誌に投稿中である。さらに、当該研究で得られた知見に基づき、オーゼティック・ベンディングアクティブ・グリッドシェルの新たな形状設計法を構築した。この成果は、国際シンポジウム”International Association of Shell and Spatial structures 2020”に投稿し、the 18th Hangai Prize を受賞した。 また、柔軟な変形機構の設計に関する研究として、オーゼティック構造を構築する周期的な幾何であるリエントラント・ハニカムによる円筒機構の形状設計法を提案した。なお、当該研究の内容は、2021 年度日本建築学会大会(東海)にて発表予定である。これらの研究は、研究方針の修正を都度行っているが、申請書に記載する研究計画に概ね則っており経過は順調であると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでABAGに対して、離散微分幾何学で定義される曲率により形状を定量化し、最適化問題に導入した形状設計法を考案してきた。以降は、当該手法で生成されたグリッドシェル曲面の剛性を調査し、建築構造として利用するための安全性を確保する補剛方法について検討を進める。具体的な補剛方法としては、ブレース材の追加、あるいは、RCのような連続体シェルによる被覆が考えられる。 また、円筒機構の開発について、これまでは機構の施工性を考慮した手法を考案し、形状生成プログラムの作成を進めてきた。今後は、有限要素解析を用いて設計された機構の非線形挙動を調査する予定である。 以上の2種類の研究を相補的に進行させ、負のポアソン比を持つ構造を利用した建築構造、および、変形機構の力学的な観点による実現可能性の検討を進める。これらの成果は、国際論文誌や国内外のシンポジウム等で引き続き発信していく。
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