2019 Fiscal Year Annual Research Report
大型キセノン検出器を用いた暗黒物質の世界最高感度探索
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19J20429
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 伸行 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 液体キセノン / 純化 |
Outline of Annual Research Achievements |
イタリアのグランサッソ地下実験施設で行われている暗黒物質探索実験XENONnTの感度を最大化するために液体キセノンの純化を行ってきた。既存の手法では循環スピードが足りず十分な純度まで達せられないことが強く示唆されており、その結果実験の感度低下につながってしまうことが予想された。そこで、既存の方法である一旦液体をガスに変えて循環する手法に変わる、循環を全て液体の状態で行う純化手法の開発にとりくんでいる。前年度に行った液体の状態でも使用可能なフィルターの試験の結果をもとに、およそ9トンの大量のキセノンを純化する手法を考案し実際に純化を開始させることができた。 新しい純化システムの使用を開始すると、液体キセノンの純度は急激に上昇し、まず目標とする値を超えることができた。最終的には以前の実験であるXENON1Tのメインの観測字と比較して10倍の純度に到達した。これは使用しているキセノンの量がXENON1Tの約3倍であることを考慮するとより圧倒的なものである。また、常に懸念事項であったフィルター本体から放出される実験のノイズの元となるラドンも無視できるレベルに抑えることに成功した。これにより実験大型化の最大の課題であったキセノンの純度に関してクリアできたと言える。 またこれとは別に、本観測のデータが出てきたときのためにデータ解析フレームワーク、特に電子反跳事象のモデル化を行うフレームワークの高度化も行った。これは暗黒物質探索実験のみならず、令和2年度にXENON1T実験から報告された予期せぬ電子反跳事象の超過をXENONnTで確認する際にも重要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
液体キセノンの到達純度を考えるとその結果は満足いくものであったため。また、低ラドン放出という観点からも良い結果が得られたため。また、コミッショニングデータの解析についても進めていけており、本計画は順調にすすんでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はXENONnTのコミッショニングデータそして最初のデータをよく解析し、新しい発見につなげられるようjにする。また純化システムについては、キセノンの純度を常に高い状態に保つ必要があるため、そのパフォーマンスを常に監視し、必要に応じてフィルターの交換や再生などのメンテナンスを施す必要があると考える。
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Research Products
(5 results)