2019 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感染における内因性免疫と獲得免疫の相反原理の解明
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19J20488
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 出海 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | HIV / 内因性免疫 / 獲得免疫 / APOBEC3 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「HLA-B35拘束性のCTL応答から逃避することで生じたE76K変異体は、A3Fによってもたらされる変異によって多様化し、病態進行を亢進する。これが、HLA-B35がHIV-1感染に対するリスクファクターとなる原因のひとつである」という仮説を検証することで、HIV-1感染者それぞれが示す病態進行と予後になぜ個人差が生じるのか、その分子メカニズムの一端を解明することである。この目的を達成するために、今年度は申請研究課題についてIn vitro実験系の構築を中心に研究を進めた。 具体的には、本研究を行うために必要なAPOBEC3分解能を失ったHIV-1株であるE76K変異株を作製した。さらに、このE76K変異株が、APOBEC3F非存在下において野生型HIV-1株と同様の増殖能を有することを確認した。 さらに、作製した変異株および野生型のウイルスに対して抗HIV-1薬を処理し、本研究を進めるために適切と考えられる薬剤濃度を検討・決定した。またこの検討に続いて変異ウイルス取得のための培養方法についても検討を行った。具体的には、当初予定していた一定の薬剤濃度でウイルス感染細胞を長期間培養する手法の他に、培養期間とともに徐々に薬剤の濃度を上げていく手法、ウイルスプラスミド とAPOBEC3F発現ベクターを一過性にco-transfectionし、上清中に放出されたAPOBEC3F結合ウイルスを回収、そのウイルスを新しい細胞にsingle round infectionさせることでAPOBEC3Fによる過剰な変異挿入を防ぐ実験系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に必要な変異ウイルスと野生型ウイルスの間で細胞への感染価および細胞内での増殖率がやや異なり、この調整およびこの差を踏まえた上での条件検討に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」欄に記したように、今年度は主に材料の作製、条件検討、実験系の構築を行った。次年度は、作製したウイルスおよび構築した実験系を用いて目的とする変異ウイルスをin vitroの系で取得することを当面の目標として研究を進めていく予定である。 また、この変異ウイルスをin vitroの系で取得した後は、A3Fがウイルスの薬剤耐性獲得に寄与しているかどうかをin vivo実験系で検証する予定である。
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Research Products
(1 results)