2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstructing seasonality in the Jomon and Yayoi diet through isotopic microsampling of dentine
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19J20509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 晴香 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 縄文時代 / 弥生時代 / 同位体食性分析 / 微量連続サンプリング / 食性の季節変化 / コラーゲン / 炭酸塩 / 成長線 |
Outline of Annual Research Achievements |
【歯の組織観察による成長線情報の取得】 歯の成長線情報を得るための組織観察は東京大学総合研究博物館において現代人歯から作成した歯の薄片に対し、透過型顕微鏡下で行った。その結果、歯冠エナメル質では周期的に形成されるレチウス条と考えられる線、歯根象牙質では周期的に形成される線と垂直に走るとされる象牙細管が観察できた。1日周期の線を観察するには偏光透過光顕微鏡等でのさらなる観察が必要だが、今回成長方向については参照できる線が実体顕微鏡レベルでも観察でき、サンプリングの掘削軌道の設定に使用可能と期待される。
【歯を安定して切断する装置のセットアップ】 歯は骨と比べ硬く、また小さいため、分析したい部位を正確に切断するためには歯をしっかり固定しておく必要があった。そこで、ルーターを金属スタンドのアームにホースバンドで取り付け、型取りに用いていたシリコン素材で挟んだ歯を試料ホルダーに固定し、それをさらにミニジャッキに固定するセットアップを作成した。少しずつ試料がダイアモンドカッターの刃に当たるようにミニジャッキのステージを上に動かしながら切断を進めると、手で試料を持ちつつ切断するのと比べ分析部位の性格な切断が可能になった。
【Minitomを用いた同位体分析用・顕微鏡観察用の歯の切断】 歯牙試料の石膏包埋、切断機による切片作成が所属機関でも実施可能となった。硬組織の切片作成においては樹脂包埋が一般的であるのに対し、水に溶出する石膏で包埋することによって、切断時は比較的強固に固定するが、その後試料を分析のために取り出すことができるようになった。さらに、石膏には採用者が同位体分析を行う元素が基本的に含まれていないため、同位体分析への影響も最小限に止めることができるようになった。この方法で、同位体分析のために2mm厚の切片、および透過光顕微鏡観察用の600-800μm厚の切片が作成可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染拡大による留学中断、大学閉鎖等により、当初予定した計画より遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
顕微鏡で観察した歯の成長線に沿って、微量連続サンプリングの掘削軌道を定める。その後、海洋研究開発機構でマイクロミルにて微量連続サンプリングを行う。現代資料でテストした後、縄文時代・弥生時代の人歯資料に応用する。 サンプリングした試料は現在開発中のコラーゲン・炭酸塩の前処理方法にて同位体分析に供する。分析結果を、主に食の季節性の観点から分析し、時代間の比較を行う。研究成果を博士論文および投稿論文にまとめる。 炭酸塩の同位体分析については今年度から所属研究機関でも実施可能となる予定なので、積極的に所属研究機関で実験を進め、出張を減らすことによって研究計画の遅延の解消を目指す。
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