2019 Fiscal Year Annual Research Report
新奇カイラル磁性体探索とフェルミオロジーから解き明かすカイラル磁性
Project/Area Number |
19J20539
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 芳樹 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 磁性体 / 量子振動現象 / 超伝導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はf電子系のカイラル磁性体の物質開発・単結晶育成を推し進めるとともに、金属の顔とも呼ばれるフェルミ面の形状とそのスピン構造からカイラル磁性体の電子状態を解き明かすことを目的としている。本年度は研究計画の初年度であり、候補物質の絞り込みや物質開発・実験装置の立ち上げなどを行った。いくつかのカイラル磁性体や結晶構造にカイラリティをもつ化合物の合成・単結晶育成を進め、それらに関する基礎物性を学会・研究会で発表した。実験装置の立ち上げに関しては、温度勾配をつけて化学的輸送法が可能な2ゾーン横型炉や、近年価格が高騰しているヘリウムを消費しない無冷媒冷凍機、そして一軸性の圧力を印加した上での測定が可能なプローブ等の立ち上げを進めた。これらの装置開発等によって今後の迅速な研究遂行が期待される。フェルミ面の研究においては、反転対称性をもたない5f電子系化合物であるUPt5の純良単結晶育成に成功し、ドハースファンアルフェン効果(量子振動現象)の検出に成功した。磁場変調法による精密な測定と、フェルミ面の理論計算によって、大きくスピン分裂したフェルミ面や強い電子相関の存在を明らかにした。これらの実験結果は国際学会で発表するとともに、プロシーディングスとして出版された。 f電子系超伝導体の研究に関しても進展が見られた。5d電子の強いスピン軌道相互作用の寄与が期待される超伝導体CeIr3の単結晶試料を用いて上部臨界磁場の異方性を磁気抵抗・磁気トルク・比熱測定から明らかにした。これらの結果は国際学会等で発表を行うとともに、プロシーディングスとして出版された。スピン三重項超伝導体の候補物質として注目を集めているUTe2に関しても、純良な単結晶の育成や圧力下での測定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、候補物質の絞り込みや測定系の立ち上げを進めている。一部の物質においては基礎物性の評価や、量子振動現象を通したスピン状態の検証が進んでおり、おおむね順調な進展である。また、並行して超伝導体の研究にも取り組んでおり、磁気トルク測定や一軸圧下での測定など共通した測定手法を通して超伝導特性の解明を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で絞り込んだ候補物質群の化合物について、単結晶育成・試料評価を迅速に進める。
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[Journal Article] Unconventional Superconductivity in Heavy Fermion UTe22019
Author(s)
Aoki Dai、Nakamura Ai、Honda Fuminori、Li DeXin、Homma Yoshiya、Shimizu Yusei、Sato Yoshiki J.、Knebel Georg、Brison Jean-Pascal、Pourret Alexandre、Braithwaite Daniel、Lapertot Gerard、Niu Qun、Valiska Michal、Harima Hisatomo、Flouquet Jacques
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Journal Title
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 88
Pages: 043702~043702
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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