2019 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫学的機序に基づく皮膚線維化疾患におけるB細胞の機能解析
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19J20657
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
市村 裕輝 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 移植片対宿主病 / 制御性B細胞 / B細胞除去療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
MyuMTマウスと角化細胞特異的卵白OVAトランスジェニック(K14-mOVA)マウスの交配を進めた.同マウスにOVA特異的CD8 T細胞(OT-I細胞)を移入し,移植片対宿主病(GvHD)様症状を誘発したところ,投与14日時点の急性期GvHDとしての苔癬反応・慢性期GvHDとしての線維化症状ともに,K14-mOVAマウスにOT-I細胞を移入した場合と比して軽度であった.このことより,B細胞およびその分化先である形質細胞が病態形成に関与している可能性が考えられた. K14-mOVAマウスにOT-I細胞を移入し,時系列にIL-10およびIL-6産生B細胞の比率の変化をフローサイトメトリーにて解析を行った.脾臓における同細胞比率・リンパ節における同細胞比率の評価を行ったが,移入後3日後より脾臓および表在リンパ節のIL-10およびIL-6産生B細胞の比率の増加を認めた.IL-10産生B細胞は移入後7日目時点で低下を認めたが,IL-10産生B細胞はこの時点でも増加しており,移入後14日後には移入前と同水準まで低下を認めた.これらのサイトカイン産生B細胞がGvHD様症状の形成に関与している可能性は考えられ,この推移を鑑み,B細胞除去療法を試みる方針とした. B細胞除去療法として,抗マウスCD20抗体である5D2を,K14-mOVAマウスに対し,各々OT-I細胞移入1日前 (day -1),移入後7日目 (day 7),移入後14日目 (day 14)に投与し,皮膚症状の推移などの評価を行った.結果,14日目時点での急性期皮膚症状および28日目時点での慢性期皮膚症状共にday -1投与群では増悪を認め,その他の群は,無加療群(アイソタイプIgGを投与)と差を認めなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイトカイン産生B細胞およびその類縁細胞の関与を示唆する結果を得られたものの,当初予測していた治療効果を本モデルでは確認できなかった.結果からはµMTマウスの結果とB細胞除去療法の結果の乖離が見られ,これはB細胞および類縁細胞の関与は考えられるが,B細胞の関与は大きくないと推測された.これに伴い当初の研究計画を見直し,形質細胞などのB細胞系列の他の細胞の関与について検討する必要性があると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
MTマウスの結果とB細胞除去療法の結果の乖離が見られ,これはB細胞および類縁細胞の関与は考えられるが,B細胞の関与は大きくないと推測された.このことより,我々は形質細胞が病態形成に関与している可能性を考え,再度解析を進めることとした.まずは,本モデルにおいて,サイトカイン産生形質細胞が存在するかの評価を行い,その結果に応じ,プロテアーゼインヒビターによる形質細胞除去療法を検討する.
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