2020 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫学的機序に基づく皮膚線維化疾患におけるB細胞の機能解析
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19J20657
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
市村 裕輝 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / 移植片対宿主病 / B細胞 / 形質細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
B細胞をターゲットにした全身性強皮症の治療は複数報告があり,有効性が報告されているが,合併症である間質性肺炎の増悪を認める症例もあり,適切な治療開始時期を検討する必要性がある.我々はこれまでに卵白アルブミンをケラチン14下流に配置したK14mOVAマウスに,卵白アルブミン特異的T細胞であるOT-I細胞を移入した移植片対宿主病様皮膚変化を来すマウスモデルにおいて,急性期には苔癬様反応を呈し,慢性期に全身性強皮症に類似した繊維化を来すことを報告している.本モデルを用い,B細胞集団の変化を評価し,全身性強皮症の指摘治療開始時期・適切なB細胞系列に対する治療を確立することを本研究の目的としている. これまでの検討において,本移植片対宿主病(GvHD)様皮膚炎モデルでは,急性期よりIL-10産生B細胞(制御性B細胞)およびIL-6産生B細胞が出現し,慢性期には消失することが判明した.B細胞欠損マウスであるμMTマウスでは急性期および慢性期症状が軽快する野に対し,B細胞除去療法である抗CD20抗体は効果が限定的であった.このことから形質細胞の関与などが考えられた.形質細胞を評価する上で,一般的なCD138は細胞内染色を要するフローサイトメトリー解析では難しいことより,形質細胞をBlimp1陽性集団とし,本モデルにおいて末梢リンパ組織などでの形質細胞の有無の評価も行った.この結果,急性期よりIL-6産生Blimp1陽性細胞が存在することが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症蔓延の影響に伴い,実験計画を予定通りに遂行することは困難であり,やや当初の予定よりは遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
急性期でのIL-6産生形質細胞の関与は明確にできていることより,今後慢性期でのIL-6産生形質細胞/形質芽細胞の有無を評価する.また,形質細胞除去を目的として,プロテオソーム阻害薬投与を行い,その効果を評価する.また,プロテオソーム阻害薬の指摘治療時期として,治療タイミングをIL-6産生形質細胞/形質芽細胞が出現する時期,最大となる時期,慢性期に移行する時期などに変更し,その有効性是非について評価を行う.
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