2019 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化時の大規模水循環変化のメカニズムに関する研究
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19J20697
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 賢希 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 地球温暖化 / 黒潮 / 海面水温 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在私は二酸化炭素の増加に伴う水循環(降水・蒸発過程)の変化について研究をしている。二酸化炭素の増加は海面水温(SST)の変化を通じて水循環を変化させるため、水循環の将来予測にはSSTの正確な将来予測が必要である。しかし、温暖化時のSST変化の予測やメカニズムに関する知見は不足している。そこで、SST変化のメカニズム理解の向上に寄与するため、世界でも特に大きな昇温を示す日本周辺域の海面水温変化メカニズムを研究した。 気候モデルを用いた数値実験を行い、日本周辺域のSST変化には北太平洋域の温暖化時の高気圧偏差化が重要で、高気圧偏差によって引き起こされる暖気の移流と黒潮の変化が大きな昇温の直接的な原因であることが示唆された。また、マルチモデル解析からも日本周辺域の昇温と太平洋域の気圧偏差の関係性が支持された。また、観測からも有意に温暖化による北太平洋の高気圧偏差が検出され、数値実験の結果と整合した。 以上の結果は日本気象学会・気象庁での研究発表会なので発表されたほか、論文として科学誌にも掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究課題は期日までに終了し、その成果は学術論文として科学誌に掲載された。現在は次の課題の「温暖化時に陸上が海洋よりも大きく昇温するメカニズム」の研究が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
温暖化時の地表面の温度変化をより理解するため、温暖化時の特徴である陸が海洋よりも大きく昇温する現象(海陸昇温コントラスト)について研究している。海陸昇昇温コントラストは温暖化時に将来予測・観測ともに顕著にみられる現象であるが、様々な要因が複雑に関わり合い、メカニズムの理解がまとまっていない。そこで、私は全てのメカニズムを一つのフレームワークで議論することを可能にする、海陸昇温コントラストの新フレームワークを開発し、その有効性をマルチモデル解析を用いて確かめた。また、そのフレームワークを用いた解析から、平衡状態の海陸昇温コントラストには今まであまり注目されていなかった有効放射強制が重要であることが示唆された。以上の結果は論文としてまとめられ投稿済みである。 今後はより現実に近い二酸化炭素が漸増している際の海陸昇温コントラストに上記のフレームワークを適用し、その特徴について議論するのに加え、海陸昇温コントラストが大気循環・水循環の変化にあたえる影響についても数値実験を通じて評価していく。
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Research Products
(4 results)