2019 Fiscal Year Annual Research Report
多細胞同時記録と光遺伝学的制御を用いた,適応行動を制御する神経回路機構の解明
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19J20733
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
谷隅 勇太 同志社大学, 脳科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 腹側線条体 / 眼窩前頭皮質 / 逆転学習 / 電気生理学的手法 / 光遺伝学的手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は,脳が適応行動をとる場面でどのように神経回路を即座に書き換え,行動を制御するのかを解明することである.この目標を達成するため,本年度は主に以下4項目に取り組んだ.1) 電気生理データの収集,2) 新たな解析環境の構築,3) 行動データの収集,4) 光遺伝学的手法を用いた実験の準備. 1) 電気生理データの収集:これまで以上に多くの電気生理データを,効率良く収集するために,新たに電気生理記録装置を運用できる環境を設立した.そして,新たに眼窩前頭皮質ニューロンの活動データの収集に成功した.このデータと,腹側線条体ニューロンの活動との比較を行うことで,脳が適応行動をとる場面において,両脳領域間でどのような情報連絡が行われているかを調べることができる. 2) 新たな解析環境の構築:脳波解析ソフトウェアを新たに導入し、現有の解析環境に組み込んだ。この解析を用いることで,脳が適応行動をとる場面においての脳領域間での情報連絡の様式を,より詳細に調べることができる.さらに, 大規模なニューロン活動データの解析を急速に行うことができる,最新ソフトウェア を導入した。 3) 行動データの収集: 行動タスクの改善、学習による汎化の検証、追加データの収集を行った。 4) 光遺伝学的手法を用いた実験の準備:まず,光遺伝学的手法を用いた行動実験を行うために,装置のセットアップを完了させた。そして,光遺伝学的手法が正常に機能しているのかを検証するための,確認実験を行った.その結果,修正点を洗い出し,条件の再調節を行うことができた.これによって,次年度の光遺伝学的手法を用いた実験を円滑に行うことができる.これらの実験は,各脳領域が,学習のどの段階に,どのタイミングで適応行動を制御するのかを調べる上で重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた,電気生理データの収集,新たな解析環境の構築,行動データの収集,光遺伝学的手法を用いた実験の準備について,おおむね達成することができた.予想外の事態として,光遺伝学的手法を用いた実験の準備における不具合があったが,結果をもとに再調節を行うことで研究を進展させた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,腹側線条体ニューロンと眼窩前頭皮質ニューロンの活動比較(単一細胞レベルから脳波レベルまで),光遺伝学的手法を用いた神経回路の操作を行う.これまで収集してきたデータを用いて,新たに構築した解析環境を利用し,現象のニューロン活動および脳波レベルでの理解を目指す.さらに,光遺伝学的手法を用いた実験を始動させ,様々な行動データを収集・比較することで,現象の行動変化レベルでの理解を目指す.
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Research Products
(3 results)