2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19J20765
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太田 雅人 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | レーザープラズマ / 宇宙線 / 無衝突衝撃波 / E-Oサンプル / X線自由電レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は宇宙線の起源として有力視される無衝突ワイベル衝撃波の実験的研究である。実験に際して、以下二点のデータを取得することによって上述の検証を試みる。 1.衝撃波面を往復しながら非熱的にエネルギーを増す、統計加速機構に起因する荷電粒子のエネルギースペクトル。 2.ワイベル衝撃波の形成の際に電子密度分布に現れるフィラメント構造。 前者を計測するために、時間分解式荷電粒子エネルギースペクトロメータの開発を行っており、電子LINACを用いた基礎実験に成功している。本計測器は,双極子磁場による荷電粒子エネルギースペクトロメータの検出器にElectro-optic (E-O) サンプリングを用いる,世界に類を見ないものである.E-O結晶は電場に晒されるとポッケルス効果により屈折率が変化する.この屈折率(電場)の変化を,パルスストレッチしバンド幅を広げたレーザーを結晶中に透過させ,回折格子で波長分解しCCDカメラで検出することで, CCDカメラ上の位置情報として電場強度の時間情報を計測でき、これを検出器に使用することでピコ秒以下の時間分解能を達成する。 後者の計測のために、X線自由電子レーザーを用いた無衝突ワイベル衝撃波計測システムの構築を行う.高強度レーザーで生成された高速プラズマ中に生成されるワイベルフィラメントにX線自由電子レーザー (波長:サブナノメートル,パルス幅:数十フェムト秒) を照射し,X線小角散乱法を用いてX線散乱パターンからフィラメント構造を計測する.高強度レーザーとX線自由電子レーザー間の遅延時間を変えることでその時間発展を調べる.X線自由電子レーザーSACLAでワイベルフィラメントを模擬したシリコンロッド集合体ターゲットを用いてX線小角散乱の評価を行い,サブマイクロメートルの電子密度構造の計測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由:本研究の課題である、時間分解式荷電粒子エネルギースペクトロメータの開発とX線小角散乱法による電子フィラメントの計測手法の構築を中心に研究を行っているが、それぞれ基礎的な手法を確立することはできたが、実際のレーザープラズマ実験で応用するに至ってはいないから。 前者の課題に関しては2019年度に大阪大学産業科学研究所の電子ライナックにて、電子バンチ(エネルギー35MeV、電荷量10~400pC、パルス幅1ps)から発せられる電場をE-Oサンプリングによって三次元的に計測した。E-Oサンプルを用いた電子バンチのパルス幅計測は多くの加速器施設で応用されている手法ではあるが、本実験では数件の前例にとどまる、電子バンチが生成する電場の動径方向の空間的な広がりやE-O信号の電場強度に対する依存性の詳細なパラメータサーチを行った。本成果により、時間分解式荷電粒子エネルギースペクトロメータを作成するにあたり必要とされる実験条件や計測器のデザインを決定できる状態となった。 後者の課題に関しては、2018年、2019年度と連続して播磨にあるX線自由電子レーザーSACLAと併設する高強度レーザー(最大出力500TW)を用いたレーザー・プラズマ実験を行った。ターゲットとしては直径500nmの円柱が1000nm間隔で規則正しく配列されたシリコンロッド集合体を用い、高強度レーザーによるロッド表面のアブレーションをX線小角散乱によって高時空間分解能(サブピコ秒、数十nm)で計測し、X線と高強度レーザーの遅延時間を変えてその時間発展を求めた。本成果より、当初の目的であるワイベルフィラメントのための計測手法が確立されただけでなく、時空間において詳細なプラズマ膨張を実験的に計測することに成功したので、この結果を数値計算Particle-in-Cell等のキャリブレーションとして応用されることも期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題である、時間分解式荷電粒子エネルギースペクトロメータの開発とX線小角散乱法による電子フィラメントの計測手法の構築において問題となるのが、前者に関してはレーザープラズマ相互作用で生成される荷電粒子の電荷量がE-Oサンプルで計測するには微小であること、また後者に関してはSACLAも含めX線自由電子レーザーに併設する高強度レーザーはワイベル衝撃波を生成するには十分の強度ではないことが挙げられる。 前者の問題に関する対策を二つ検討している。一つ目はE-O係数(電場に対する屈折率変化の感受率)が従来のZnTeのような半導体よりもオーダーで高い有機E-O結晶DASTを使用することである。現在、有機結晶の生成を行っている研究グループからの援助を受け、実験への使用を検討している。二つ目にはプラズマ源に可能な限りE-O結晶を近づけるようにするために計測器の小型化に着手している。プラズマから放たれる荷電粒子は距離と共に発散していくため、遠方では生成される電場の強度が小さくなってしまうことが上述の目的である。 後者の問題に対しては、X線自由電子レーザー併設の高強度レーザーのアップグレードを待つ間、ワイベル衝撃波が生成されやすい特殊ターゲットのデザインを行ったり、X線自由電子レーザーではなく高強度レーザー生成のX線をプローブ光として応用することを検討している。ドイツに建設されたEuropean XFELにてワイベル衝撃波を生成するに匹敵する程の高強度レーザーを建設する動きもあり、共同研究者であるドイツHZDR研究所の協力を得ながら、European XFELでの実験提案を積極的に行っていく予定である。さらにレーザー生成X線の研究は共同研究グループであるをフランスLULIが世界に先駆けて研究を行っており、等研究チームとの協力体制をさらに強固なものにする。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Local plasma parameter measurements in colliding laser-produced plasmas for studying magnetic reconnection2020
Author(s)
T.Morita, K.Tomita, K.Sakai, M.Takagi, K.Aihara, M.Edamoto, S.Egashira, T.Higuchi, N.Ishizaka, T.Izumi, S.Kakuchi, T.Kojima, Y.Kuramitsu, S.Matsukiyo, Y.Nakagawa, T.Minami, H.Murakami, Y.Nishioka, M.Ota, T.Sano, S.Sei, K.Sugiyama, S.J.Tanaka, R.Yamazakid, Y.Sakawa
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Journal Title
High Energy Density Physics
Volume: 36
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Observation of ultra-high energy density state with x-ray free electron laser SACLA2020
Author(s)
Y. Maeda , Y. Hironaka , T. Iwasaki , K. Kawasaki , Y. Sakawa , T. Izumi , M. Ota , S. Egashira ,Y. Nakagawa, N. Higashi, Y. Sentoku, R. Kodama, N. Ozaki, T. Matsuoka, T. Somekawa, T. Yabuuchi, Y. Inubushi, T. Togashie, A. Kone, K. Sueda, K. Miyanishi, S. Shingubara, T. Shimizu, A. Okumura, K. Shigemori
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Journal Title
High Energy Density Physics
Volume: 36
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Laboratory Observation of Radiative Shock Deceleration and Application to SN 1987A2019
Author(s)
Th. Michel, B. Albertazzi, P. Mabey, G. Rigon, F. Lefevre, L. Van Box Som, P. Barroso, S. Egashira, R. Kumar, C. Michaut, M. Ota, N. Ozaki, Y. Sakawa, T. Sano, E. Falize, and M. Koenig
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 888
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Anomalous plasma acceleration in colliding high-power laser-produced plasmas2019
Author(s)
T. Morita, K. Nagashima, M. Edamoto, K. Tomita, T. Sano, Y. Itadani, R. Kumar, M. Ota, S. Egashira, R. Yamazaki, S. J. Tanaka, S. Tomita, S. Tomiya, H. Toda, I. Miyata, S. Kakuchi, S. Sei, N. Ishizaka, S. Matsukiyo, Y. Kuramitsu, Y. Ohira, M. Hoshino, and Y. Sakawa
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Journal Title
Phys. Plasmas
Volume: 26
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Small Angle X-ray Scattering on Rod Assembly Target at SACLA2020
Author(s)
M. Ota, M. Rodel, S. Egashira, T. Izumi, Y. Nakagawa, T. Pikuz, A. S. Pirozhkov, A. Laso Garcia, A. Morace, T. Minami, K. Sakai, Y. Fukuyama, Y. Maeda, H. Takabe, T. E. Cowan, M. Nakatsutsumi, K. Fukami, T. Kluge, Y. Fukuda, Y. Kishimoto, and Y. Sakawa
Organizer
First experiments with a high-intensity short-pulse laser at HED/HIBEF
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Small angle X-Ray Scattering with Sub-Micron Rod-assembly Target at SACLA2019
Author(s)
M. Ota, M. Rodel, S. Egashira, T. Izumi, T. Pikuz, A. S. Pirozhkov, A. Laso Garcia, A. Morace, T. Minami, Y. Fukuyama, Y. Maeda, B. Albertazzi, M. Koenig, K. Shigemori, Y. Sentoku, H. Takabe, T. E. Cowan, M. Nakatsutsumi, T. Kluge, Y. Fukuda, K. Fukami, Y. Kishimoto and Y. Sakawa
Organizer
11th International Conference on Inertial Fusion Science and Applications