2021 Fiscal Year Annual Research Report
畏敬の念の負の側面に関する研究ー個体と環境の相互作用の観点からー
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19J20942
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高野 了太 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 畏敬の念 / 感情 / 瞳孔径 / 皮膚電位反応 / 状態空間モデル / フィールドワーク / スピリチュアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
畏敬の念は,「既存の認知的枠組みを更新するような広大な刺激に対する感情反応」と心理学的に定義されている一方で,畏敬感情が創発する規定条件に不明な部分が多い。本研究は,畏敬経験 (動画視聴) 時の身体生理反応 (皮膚電位反応・瞳孔径) および主観評定 (超自然性知覚) を経時的に測定し,これらの時系列的変化を検討することで,「身体」の観点からその創発機序に迫った。その結果,2分間を平均して,楽しさ・ニュートラル経験と比べ,畏敬経験において (1) 皮膚電位反応が低い,(2) 瞳孔径が大きい,(3) 超自然性知覚が促されることが示された。さらに,状態空間モデルを用いた時系列解析の結果,(1) 閉鎖的な空間から広大な空間にシーンが切り替わる時に皮膚電位反応の低下が顕著であること,(2) 瞳孔径の拡大・縮小の変化が顕著であること,(3) 超自然性知覚は一度促進されるとしばらく維持されることが初めて明らかになった。これらの成果をまとめた論文を現在執筆中である。 また,実際に畏敬を感じる2つの場所(高野山・那智の滝)にてフィールドワークを実施し,悲しさ・幸せ感情と人生の意味感 (meaning in life) の関係がこれら2条件で異なること,畏敬感情は両条件で共通して,自己手放しの感覚 (自分自身や自分に関わる物事から解放される感覚) との関わりにおいて人生の意味感と正に関連することが初めて示された。これらの成果をまとめた論文についても現在国際学術誌に投稿中である。 さらに,畏敬とかかわりの深いスピリチュアリティについて,日本の祖霊崇拝傾向は権威主義の服従的側面と正に,自然崇拝傾向は因習主義的側面と負に関連するという研究成果をまとめた論文が,Psychology of Religion and Spirituality誌に投稿・受理された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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