2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum spin liquid on frustrated magnets
Project/Area Number |
19J21017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村山 陽奈子 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 量子スピン液体 / フラストレーション / カゴメ格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、カゴメ格子上の量子スピン液体候補物質ZnCu3(OH)6Cl2について、比熱と熱伝導測定の結果を論文にまとめた。論文は現在投稿中である(arXiv:2106.07223)。
カゴメ格子上の量子スピン液体は長らく理論的に研究されてきたものの、厳密解がないことから基底状態が量子スピン液体であること以外、そのトポロジカル構造や励起状態についての議論に決着がついていない。特に素励起におけるギャップの有無さえわかっていないため、実験的に低エネルギー励起を観測してこれを明らかにする必要がある。 ZnCu3(OH)6Cl2はカゴメ格子上のスピン1/2ハイゼンベルクモデルを実現する磁性体で、数少ないカゴメ格子上の量子スピン液体候補物質の一つである。しかし量子スピン液体を特徴づける低エネルギー励起には、Zn/Cuアンチサイト欠陥に起因した励起や散乱が現れてしまい、この系の量子スピン液体の低エネルギー励起はよくわかっていない。 そこで、この物質について希釈冷凍機を用いて極低温下での比熱と熱伝導測定を行った。14Tまで磁場依存性のない熱伝導率が観測された一方で、比熱測定では強く磁場依存する磁気比熱が観測された。熱伝導には遍歴的な励起のみが寄与する一方で、比熱には遍歴的な励起だけでなく局在的な励起も寄与することから、この系では強く磁場依存する局在的な磁気励起があることがわかった。この磁気比熱は特徴的なスケーリング則を示し、弱いランダムネスがある量子スピン液体の理論で提案されている関数形でよくフィットできた。この理論では、ランダムネスがある場合に量子スピン液体の欠陥として孤立した局在スピンが生じ、その孤立スピン同士が弱く相関してランダムシングレットを形成し、局在的な磁気励起を生じることが予想されている。今回観測された磁気比熱のスケーリングは、この描像を強く支持する結果である。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Presentation] Universal scaling of the specific heat in S=1/2 quantum kagome antiferromagnet herbertsmithite2022
Author(s)
H. Murayama, T. Tominaga, T. Asaba, A. de Oliveira Silva, Y. Sato, H. Suzuki, Y. Ukai, S. Suetsugu, Y. Kasahara, R. Okuma, I. Kimchi, Y. Matsuda
Organizer
APS March meeting
Int'l Joint Research