2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Theoretical Analysis on Hysteresis after Financial Crises and Optimal Macroprudential Regulation Based on the Model of Rational Bubbles
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19J21111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野吾 尚紀 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 合理的バブル / 金融危機 / 金融市場の不完全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代の日本のバブル崩壊、2000年の米国サブプライム・ローン問題に端を発する世界金融危機など、大規模な金融ショックの後には生産のレベルだけでなく長期的な経済成長率が低下することが知られている。私はこの現象を説明するため、合理的バブルの枠組みに名目硬直性とゼロ金利制約の導入を行い、金融市場の不完全性を含む動学的一般均衡モデルを考えた。そして、バブルの発生前、発生中、崩壊後の三つの段階において、経済状態の比較を行った。 また本年度は、当初の研究テーマを発展させ、「金融のグローバル化と資産価格バブル」というテーマで研究を行った。近年の世界経済は、1980年代の南米や90年代の東南アジア諸国における株価や不動産価格の乱高下を代表に、繰り返し資産価格バブルを経験している。重要なのは、上記のバブルはいずれも、国際金融規制の撤廃とそれに伴う資本の急激な流出入を原因として生じた点である。私は上記のメカニズムを描写するため、金融市場の不完全性を含む合理的バブルの理論を2国間モデルへと拡張し、金融のグローバル化がバブルの発生条件にどのような影響を与えるか、またバブルが長期的な経済成長率に及ぼす影響は、グローバル化の前後でどのように異なるかについて分析を行った。その結果、金融市場が十分に発達した先進国経済、および十分に未発達な新興国経済の双方において、金融のグローバル化はバブルの発生条件を緩和するとともに、バブルの成長促進効果を大きくする(従って、その崩壊はより大きな成長率低下をもたらす)ことが理論的に示された。 私は上記の研究成果を、論文 “Financial Market Globalization and Asset Price Bubbles” として執筆し、日本経済学会春季大会およびEconometric Society Australasia Meetingで発表した。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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