2019 Fiscal Year Annual Research Report
小児白血病の発症リスクと治療反応性に関するゲノムワイド関連解析
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19J21185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
半谷 まゆみ 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 小児 / 白血病 / ゲノムワイド関連解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【小児白血病のゲノムワイド関連解析】 遺伝的背景が小児急性リンパ性白血病(ALL)の発症に与える影響を明らかにするため、日本人小児ALL患者と健常人の生殖細胞系DNA配列を比較解析(症例対照ゲノムワイド関連解析;GWAS)した。 東京小児がん研究グループ(TCCSG)で収集された小児ALL患者のサンプル(TCCSG GWAS)と、日本小児白血病・リンパ腫グループ(JPLSG)で収集された小児ALL患者のサンプル(JPLSG GWAS)を用いた。SNP arrayでtypingされた情報をもとに、日本人パネルを用いてSNP imputationをしたのち、上位2つの主成分で調整してGWASを行った。TCCSG GWASおよびJPLSG GWASをメタ解析し、カリフォルニアの東アジア人コホートでのGWASの結果(CCRLP GWAS)を用いて再現性を確認した。 メタ解析では、既知の2つの関連遺伝子上のSNPのみが統計的有意であり、準ずるものについてCCRLP GWASを用いて検証したが再現性のある部位は認めなかった。一方、TCCSGとJPLSG GWASのメタ解析の結果から、既知の関連遺伝子である ARID5B の中に、互いに連鎖不均衡な関係にある2つの独立した関連部位があることを見出した。また、既に他人種で同定されている部位について、一部のものは日本人でも再現され、一部のものは再現されないことを示した。 【小児がん経験者の心理社会的課題の抽出】 小児がん経験者が抱える様々な心理社会的課題を抽出・評価することを目的として、約10の小児がん診療施設や患者会の協力を得て小児がん経験者をリクルートし、フォーカス・グループ・インタビューを実施した。これまでに9グループ・約40名の方にインタビューを実施し、内容を分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの解析を行い、研究成果を2019年11月に第61回日本小児血液・がん学会学術集会(於:広島)で発表した。追加の解析もほぼ終え、現在英語論文の投稿準備中である。 この1年を通して、データサイエンス・バイオインフォマティクスのスキルも向上させることができた。
また、当初計画していたゲノムワイド関連解析研究に関連して、小児がん経験者が小児がんを克服してから経験する心理社会的課題に関心を持つようになり、これに関する多施設共同研究を実施する機会を得ることができた。この研究も順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
【ゲノムワイド関連解析】 当初研究成果を国際学会(オタワ(カナダ)で開催される国際小児がん学会)で発表予定であったが、新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響で断念した。代わりに、なるべく早く英語論文にまとめて国際誌に投稿する予定としている。
【小児がん経験者の心理社会的課題】 引き続きフォーカス・グループ・インタビューを実施し、質的分析を進めるとともに、先行研究や自身の質的研究結果を参考に量的調査も実施する。具体的には小児がん経験者を対象としたオンライン調査で、原病克服後の心理社会的課題を評価する。
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Research Products
(4 results)