2021 Fiscal Year Annual Research Report
ジカウイルスアジア型株間の比較に基づくジカウイルスの病態発現機序の解明
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19J21312
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
稲垣 拓哉 早稲田大学, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ジカウイルス / リバースジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ジカウイルス(ZIKV)の流行前の株(東南アジア由来NIID123株)と流行後の株(アメリカ大陸由来PRVABC59株)の間で、両株の表現型の違いをもたらす遺伝的背景を同定し、それをもとにZIKVの感染機構や病態発現機序の解明することを目指した。 本年度までに、NIID123株とPRVABC59株の遺伝子操作系を開発した。我々のグループでは以前にも、ZIKVゲノムcDNAの全長をクローニングすることで同系の開発を行っていた(Kato et al. 2017, 2018)。しかし、ウイルスの安定した作製が困難であったため、ゲノムcDNAを3分割してクローニングし直すことで、安定した遺伝子操作系の開発に成功した。本系を用いて、ZIKVのprMタンパク質が、ZIKVのマウスに対する病原性に寄与することを報告した(Nakayama et al. 2021)。また、NIID123株とPRVABC59株の間で、prMタンパク質の146番目(prM146)のアミノ酸の違いが、両株の表現型の違いをもたらすことを発見した(Inagaki et al. 2021)。 本年度は、本課題の更なる発展に向け、これまでの視座であるPRVABC59株とNIID123株の比較とは異なる観点で研究を進めた。PRVABC59株に比べると、NIID123株のVero細胞での増殖能は低い。この増殖能の高低はprM146のアミノ酸の違い(PRVABC59株:Leu、NIIID123株:Phe)が決めており、両株の間でprM146のアミノ酸を交換すると、その増殖能が逆転する。また、ZIKVのprM146はLeuで保存されており、PheであるのはNIID123株のみであった(Inagaki et al. 2021)。そこで、NIID123株をVero細胞で繰り返し継代することで、prM146がPheからLeuへ置換するのかを検証した。継代したNIID123株のゲノム配列を、次世代シークエンサーで解析を行った。ほとんどのリードでprM146のコドンはPheのままであり、Leuへの置換があったのは2%強にとどまった。NIID123株はprM146がPheのまま、すなわち増殖能が低いまま安定している特殊な株であることが示唆された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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