2019 Fiscal Year Annual Research Report
Search for neutrinos associated with solar flare in Super-Kamiokande
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19J21344
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 幸平 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 太陽フレア / 太陽フレアニュートリノ / 太陽ニュートリノ / 較正実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究計画では、実際に太陽を観測している衛星のデータを用いて太陽フレアの時間幅の推定を行う。さらに、スーパーカミオカンデの較正実験等を通して検出器についての理解を深め、スーパーカミオカンデのデータの解析方法について学び、太陽フレアニュートリノ探索に必要な知識を揃える。以上の研究を実施する予定であった。 まず、太陽フレアニュートリノ探索のための太陽観測衛星のデータ解析であるが、名古屋大学宇宙地球環境研究所統合データサイエンスセンターから太陽観測衛星のデータを取得し、太陽フレアニュートリノ発生時刻(以下Time windowと呼ぶ)特定のための解析を行った。まず、本研究において対象とする23個の大規模な太陽フレアを選定した。また、太陽観測衛星のデータからTime Windowを特定するアルゴリズムを開発し、選定した23の太陽フレアに対して適用した。 本研究で決定したTime Windowの情報をまとめ、研究会などで発表した。 また、このTime Windowの結果と決定法を合わせて論文として次年度に発表予定である。 また、スーパーカミオカンデ検出器の較正に関しても成果をあげた。スーパーカミオカンデ検出器の較正実験のうち、エネルギーの再構成に関係する較正実験である、LINAC実験の過去10年(5回分)のデータを再解析した。再解析したデータは2009年、2010年、2012年、2016年、2017年の5回にわたってデータ取得されたもので、データとシミュレーション結果との間に無視できない不一致があった。これに対して、スーパーカミオカンデ検出器の応答時間のシミュレーションに予期しない効果が含まれていたことを突き止め、修正し再解析を行った。その結果、データとシミュレーション結果との間に見られていた大きな不一致は取り除かれ、太陽ニュートリノ解析に対しても貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究計画の目標の一つであった、太陽フレアニュートリノ探索のための太陽観測衛星のデータ解析が終了しており、すでに学会や研究会等で発表も行なった。また論文出版の準備もおおよそ終了している。一方で、スーパーカミオカンデ検出器の較正実験の再解析でも成果を挙げられている。この結果は、本研究の進捗と直接の関係はないが、太陽フレアニュートリノ探索のためにスーパーカミオカンデ検出器の理解と解析の準備を行うことができた。来年度以降にスーパーカミオカンデ検出器の解析を行い、その結果をまとめる。これらは、研究計画と同程度かそれ以上の進捗であり、概ね予定通りに研究が進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までで、太陽フレアニュートリノ探索のための太陽観測衛星のデータ解析は終了した。本年度では、その結果を論文に発表するする所から始め、スーパーカミオカンデ検出器のデータ解析に着手する。具体的には、太陽フレアニュートリノのシグナルシミュレーションの作成、検出効率とそれに伴う誤差の推定、データ解析などである。前年度に修正した検出器シミュレーションの改善などをもとにこれらの研究を行なっていく予定である。これらの解析結果をまとめ、研究会や学会などで報告する。問題点等は今のところ見つかっていないため、現状のまま進めることができれば、予定通り研究を完遂できると予想される。
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Research Products
(2 results)