2019 Fiscal Year Annual Research Report
バリウムシリサイド薄膜の高品質化による高効率Siベースタンデム型太陽電池の作製
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19J21372
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山下 雄大 筑波大学, 数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | バリウムシリサイド / シリサイド半導体 / 薄膜太陽電池 / デバイスシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、民生用の太陽電池で30%超の変換効率を実現するため、資源が豊富なBaとSiからなるシリサイド半導体BaSi2をトップセルとしたSiベースタンデム型太陽電池を実現することを目的としている。本年度は、タンデム型太陽電池の要素技術であるBaSi2太陽電池の高効率化に向けて、BaSi2太陽電池のデバイスシミュレーションを行った。 シミュレーションにおいては、実験的に測定したn-kデータを用い、光吸収スペクトルを計算した。層構造は、現状最も高い変換効率が得られている構造を踏襲し、表面からn+-BaSi2/p-BaSi2/ p+-BaSi2とした。3Dテクスチャ構造による反射防止・光閉じ込め効果を検証したところ、表面構造をテスクチャとすることで波長700-1100 nmの反射率が減少し、BaSi2による光吸収が1.2 mA/cm2増加した。また、p-BaSi2における光吸収を阻害する最も大きい要因は、表面の電子選択層(ETL)であるn+-BaSi2内での寄生吸収であることがわかった。光吸収係数の大きいBaSi2をETLに用いる限り、この寄生吸収は避けられない。 そこで、ETLに禁制帯幅の大きなn+-AZOを用いたn+-AZO/p-BaSi2ヘテロ接合太陽電池を検討したところ、寄生吸収が著しく減少した。光電流はホモ接合時と比べて10 mA/cm2以上増加し、表面テクスチャ構造を用いると最大で30.23 mA/cm2に達した。さらに、この知見を元に実際にMBE法で上記デバイスを作製し、その太陽電池デバイス動作を初めて実証した。BaSi2太陽電池のデバイス設計を、シミュレーションをベースに行ったのはこれが初めてである。また、動作を実証した太陽電池構造は従来のものよりも作製が容易であり、安価なBaSi2太陽電池の産業応用を推進する大きな意味をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(1年目)は当初計画(高品質結晶の成膜)の達成に加え、3年目に行う予定であったBaSi2太陽電池のデバイス設計について、デルフト工科大学の協力を得ることで遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度には遂行しきれなかった、バンドアライメントを元にした電気的シミュレーションに移行する。動作実証した際の実験データをシミュレーションで説明し、改善する。また、pn接合界面の高効率化を目指す。
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Research Products
(20 results)