2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Origin of Water and Atmospheric Composition of Terrestrial Planets: Effects of Impact-Induced Atmospheric Erosion and Element Partitioning during the Accretion
Project/Area Number |
19J21445
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
櫻庭 遥 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
|
Keywords | 惑星科学 / 地球型惑星起源・進化 / 地球化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽系の地球型惑星の中でも灼熱乾燥の金星と温暖湿潤な地球、寒冷乾燥の火星はまるで異なる表層環境を持つ。本研究課題の目的は惑星集積・分化過程においてコア・マントル中の揮発性元素量、大気組成、表層水量がどのように決定されたのかを明らかにすることで地球型惑星の表層環境の起源を解明することである。今年度は、主要な揮発性元素である炭素、窒素及び水素に着目し、本研究課題の軸となる地球型惑星集積期の表層・内部リザーバ間の元素分配モデルを構築した。この理論モデルを用いることで地球型惑星が微惑星を捕獲し成長する過程で揮発性元素がどのように供給・分配・散逸されるのかを見積もることが可能になった。計算の結果、地球集積中に多量の炭素がコアへ分配され、窒素が大気から宇宙空間へ排出されるという結果が得られた。このことは、現在の地球が炭素と窒素に著しく枯渇しているという謎が地球集積過程の元素分配によって説明できる可能性を示唆している。さらに幅広いパラメータサーベイを実施したところ、マグマオーシャンの酸化還元度や集積天体サイズ等が地球揮発性元素組成を決定づける重要な要素であることが分かったため、それらの依存性について詳しく調べた。結果から示唆される酸化的なマグマオーシャンの形成と巨大衝突に伴う連続的な微惑星集積によって地球が形成されたという描像は、既存の地球化学的証拠や惑星形成理論とも矛盾しない。以上の研究成果は国内外の学会で発表し論文にまとめて現在国際誌へ投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は地球型惑星の揮発性元素組成が惑星形成期にどのように進化するのかを統合的に計算する理論モデルを構築した。大気--マグマオ--シャン--金属コア間の相互作用と大気からの散逸過程について当初の予定よりシンプルな元素分配モデルを採用することで一年でこの理論モデルを完成させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究から地球の揮発性元素組成を決定づける要素として惑星集積中の元素分配やコア形成時のマグマオーシャンの酸化還元度が重要であることが分かった。今後はさらに太陽放射による大気散逸モデルを構築することで円盤ガス捕獲が大気進化に与える影響を調べる。さらに惑星集積中の大気とマグマオーシャンの相互作用を考慮し酸化還元度がどのように変化したのかを調べる。大気散逸については水素散逸とそれに伴う重分子の散逸や同位体分別を計算に組み込むことでより多角的に地球型惑星の揮発性元素の起源を探ることを目指す。
|
Research Products
(6 results)