2021 Fiscal Year Annual Research Report
キラルアミノ酸の三次元HPLC一斉分析法開発と腎・心不全の新規診断マーカー探索
Project/Area Number |
19J21452
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古庄 仰 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | アミノ酸 / キラル分離 / 多次元HPLC |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)患者の血中では数種のD-アミノ酸含量が疾患の進行と関連することが報告され、バイオマーカー候補として有用性が注目されている。しかし、多種多様な夾雑成分を含む生体試料中で微量にしか存在しないD-アミノ酸を分析することは困難であり、従来の分析法では感度や選択性の問題で定量不能となるD体が数多く存在した。そこで本研究では、高感度選択的三次元高速液体クロマトグラフ法(HPLC)を開発し、腎疾患を対象としたキラルアミノ酸含量変動の全体像解明、新規診断マーカー探索を行うことを目的とした。本年度は、2年目までに開発したキラルアミノ酸12種を対象とする三次元HPLC微量分析法を用いて健常人およびCKD患者の血漿試料を測定し、キラルアミノ酸の網羅的含量解析を試みた。測定した全ての試料について夾雑成分による定量妨害は認められず、キラルアミノ酸の正確な分析が可能であった。これまでにCKDとの関連が殆ど報告されていないアミノ酸2種について、CKD患者群の多数の検体でD体の存在が認められた。一方のアミノ酸については、健常人群の全検体でD体が定量限界以下であったのに対し、患者群では既存の腎機能マーカーである推算糸球体濾過量(eGFR)が比較的高値な群でも89%の検体で存在が確認された。もう一方のアミノ酸はeGFR値の低下に伴う%D値の上昇傾向が認められ、健常人群との有意差も認められた(P<0.01)。これらのアミノ酸2種は新規CKD診断マーカー・腎機能マーカーとしての利用が今後期待できる。本研究で開発した三次元HPLC法は従来法と比較して飛躍的に高い選択性を有しており、複雑な臨床試料中の微量D-アミノ酸を一斉分析することが可能であった。今後、種々の疾患におけるキラルアミノ酸含量変動の網羅的な解析により、新規バイオマーカーの探索や有用性評価、臨床診断等への応用が期待される。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)