2020 Fiscal Year Annual Research Report
細分化されたカテゴリーが媒介する自己知と他者理解ー性別違和をめぐる語りからー
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19J21506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 今日子 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | カテゴリー / 自己 / トランスジェンダー / Xジェンダー / 性的マイノリティ / 性自認 / ジェンダー / オーラルヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、性別違和に関するカテゴリーがどのように人々に用いられ、それらが自己や他者の理解に役立てられているのかを明らかにすることである。それによって、性的少数者の分類が形成・維持されるメカニズムの一端を解明する。そのために、これまでインタビュー調査およびミニコミ誌等の資料収集と分析を進めてきた。 2020年度においては、以下の課題に取り組んだ。第1に、1990年代から現在に至るトランスジェンダーやXジェンダーをめぐる言説を探るために、これまでにインタビューを行っていた対象者に追加インタビューを行い、インタビュー対象者の協力を得て文献資料の収集を進めた。第2に、1990年代中頃からの同性愛者による運動と、それに対する同一性や差異を表明してきた活動家の言説を分析した。第3に、理論的枠組みについては、成員カテゴリー化装置とフーコーの言説分析を結び付けて分析しようとする立場について検討した。全体としてコロナウイルスの感染状況が改善しないために、インタビュー調査・資料調査いずれも制限されたが、可能な限り既存の資料に基づいて分析し、学会や雑誌に発表したほか、講演活動などのアウトリーチ活動を行なった。 2021年度は、引き続きトランスジェンダーやXジェンダーなどの性自認をめぐるカテゴリーが2000年代に広まっていった過程を調査すること、オーラルヒストリーの方法と倫理的課題について検討すること、カテゴリー化に関する議論を検討していくことが必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度はコロナウイルスが蔓延する状況下において、インタビュー対象者や収集する資料を新たに拡大していくことが難しかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下3点の課題に取り組んでいく。 第1に、引き続きトランスジェンダーやXジェンダーなどの性自認をめぐるカテゴリーが2000年代に広まっていった過程を調査する。これに関しては、コロナウイルスの感染状況によって、新たな調査対象者にアプローチすることが現実的に可能かどうか検討するなかで進めていく必要がある。また、ウェブ上の言説や昨年度に収集した2000年代の活動をめぐる資料の分析を進める。 第2に、オーラルヒストリーの方法と倫理的課題についての文献を収集し、本研究がテクストの分析とインタビューによるオーラルヒストリーをどのように結び付けうるのかを検討する。 第3に、昨年度に続き理論的枠組みに関する検討をおこなう。M.フーコーおよびI. ハッキングの議論を再検討することを通じて、博士論文を執筆する際の理論的枠組みを設定していく。
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Research Products
(4 results)