2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19J21518
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
川戸 智 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | クルマエビ / ゲノム / WSSV / PRDV / PAV / EVE / 内在性ウイルス様配列 / シラエビ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. クルマエビ初代培養細胞の培養法および遺伝子導入法 クルマエビ血球の初代培養条件と外来遺伝子導入法を検討した。培地のpHや添加物の組成を検討したが、長期培養はできなかった。トランスフェクション試薬とエレクトロポレーション法を用いてGFP発現プラスミドの導入を試みたが、発現を確認することはできなかった。クルマエビ類細胞への遺伝子導入にはエビ(あるいは甲殻類)特有の要素を考慮した改善が必要と考えられた。 2. クルマエビゲノムの解析 クルマエビのドラフトゲノム (GenBank Accession No. GCA_017312705.1) およびトランスクリプトーム (ICRJ00000000.1,ICRK00000000.1) の整備を完了した。Nanoporeロングリードを用いた再解析の結果、ドラフトゲノムのギャップ含有率は32%から2%に減少した。本研究の過程で得られたDNA抽出やロングリードライブラリー構築のノウハウは、今後他の甲殻類を対象としたゲノム解析プロジェクトにも応用可能である。本研究は沖縄科学技術大学院大学、東京大学、神奈川大学との共同研究である。 3. 甲殻類ゲノム中に存在するニマウイルス様配列の探索 クルマエビのドラフトゲノムから新たなニマウイルスの配列 (MjeNMV2と仮称) を発見した。養殖および天然クルマエビにおけるMjeNMV2のPCR陽性率は約10%であった。また、シラエビのショットガンシーケンシングデータから、WSSVに類似した (アミノ酸一致率50%以上) ニマウイルスゲノムを発見した。本ニマウイルスが感染性のウイルスか、あるいはシラエビゲノムに組み込まれた内在性ウイルス配列かは不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クルマエビ初代培養細胞を利用した遺伝子導入は引き続き改善が必要な段階にある。一方、クルマエビのゲノム・トランスクリプトームデータについては、解析を完了し、結果を公表することができた。内在性ウイルス様配列の探索についても、新たなニマウイルスを発見するなど、大きな進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
クルマエビ類への効率的な外来遺伝子導入は依然困難であり、更なる改善が必要である。新たな手法を試みるほか、これまでに用いた手法のパラメータ最適化も行い、良好な結果が得られる組み合わせを炙り出す。 内在性ウイルス様配列については高精度な配列がすでに得られているため、遺伝子機能の推定など詳細な解析を行っていく。
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Research Products
(2 results)