2020 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙機の大規模編隊飛行を実現する相対航法・情報共有ネットワークの構築
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19J21523
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船曳 敦漠 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | フォーメーションフライト / 編隊飛行 / 相対航法 / 相対位置推定 / 衛星間通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「大規模編隊飛行を実現する相対航法・情報共有ネットワークの理論構築 (A-1) 相対航法アルゴリズムの構築」に関して、宇宙機の機数が多くなった際に重要となる推定処理の分散化に取り組んだ。観測データや推定結果の共有が制限された状況でも、宇宙機間の相対位置・速度推定を実行する機能が重要となる。左記の機能を実現するために、センサネットワーク分野等で盛んに理論構築・実証が行われている分散ベイズ推定手法を応用し、大規模編隊飛行の相対位置・速度推定に適用した。理論構築・シミュレーションによる検証を通じて、初期推定値が真値に近い状態など一定の条件を満たす場合に、宇宙機間の情報共有が制限されている状況でも、分散型の推定アルゴリズムで妥当な推定精度を達成できることを明らかにした。 研究課題「大規模編隊飛行を実現する相対航法・情報共有ネットワークの理論構築 (A-2) 情報共有プロトコルの構築」に関して、大規模編隊飛行における宇宙機間通信の理論構築・シミュレータ開発に取り組んだ。編隊飛行の中で相対航法を実現するためには、宇宙機の間でどのように観測データや推定結果を共有するかが重要となる。宇宙機間の通信を忠実度高く模擬できるアドホック・メッシュネットワークのシミュレータの開発、またそのシミュレータを用いて宇宙機間通信を模擬したい状況での航法精度評価を行った。 以上の検討で構築した理論・シミュレーションを統合し、宇宙機を模擬した複数のPCを用いて、提案する相対航法・相互通信の枠組みの有効性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、(1)宇宙機間の相対航法、(2)宇宙機間の相互通信、(3)実機試験での検証、の3項目からなる。 (1)に関して、多数機から構成される大規模編隊飛行で重要となる分散型推定手法の理論構築・シミュレーションによる検証を行った。 (2)に関して、アドホック・メッシュネットワークの通信形式を基軸に、実際の通信に伴う制約を定量的に扱えるシミュレーション環境の構築を行った。このシミュレーション環境を用いて、通信形式が相対航法精度に与える影響を定量的に評価した。 (3)に関して、複数のPCを用いて宇宙機間の相互通信を模擬できる環境の構築を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、(1)宇宙機間の相対航法、(2)宇宙機間の相互通信、(3)実機試験での検証、の3項目からなる。 (1)に関して、2020年度に考察を深めた分散型の推定アルゴリズムをより一般化し、実際の大規模編隊飛行のミッションに推定則を適用する際の定量的な評価指標の提案を目指す。 (2)に関して、2020年度に引き続き、宇宙機間通信の模擬をより実際の通信形式に近づけ、相互通信が相対航法に与える影響をより忠実度高く評価できるように、シミュレータの改良を行う。また、相互通信が相対航法に与える影響を理論ベースで定量的に評価できるように、通信形式の数式的な評価方法を模索する。 (3)に関して、(1)・(2)で構築した理論・シミュレーションを統合し、宇宙機を模擬した複数のPCを用いて、提案する相対航法・相互通信の枠組みの有効性を検証する。
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