2019 Fiscal Year Annual Research Report
Low power consumption and compact photonic device for large capacity optical telecommunication
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19J21526
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 文 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 波長選択光スイッチ / WSS / 光通信 / 光スイッチ / 相変化材料 / データセンタネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年は、研究課題である低消費電力で高速な波長選択光スイッチ(WSS)の実現に向け、1)自由空間光学系とシリコン光回路を組み合わせたハイブリットWSSの設計・試作、2)相変化材料とスイッチ構成の決定、3)WSSを用いたデータセンタネットワークの提案と伝送実験を行った。 1)波長合分波素子に低損失な自由空間光学系、スイッチング部分に高速なシリコン光回路を用いたハイブリットWSSを設計し、シリコン光回路部分の試作を行った。課題となっていた自由空間工学系から450 nm程度の微小な導波路を持つシリコン光回路への光結合部分には、CMOSセンサへの光結合等に用いられるマイクロレンズアレイを採用し、シリコン光回路にはファイバとの結合に用いられるグレーティングカプラを集積した。シリコンチップはすでに作製が完了しており、次年度に提案ハイブリッド構成での動作確認を行い、最終目標に向けて改善設計と再試作を行う。 2)スイッチ部分に利用する相変化材料の決定とスイッチ構成の決定を行った。相変化材料を用いた光スイッチは、スイッチング状態の維持に電力が不要であり、低消費電力化が実現できる。繰り返し回数や相変化の安定性の観点から、スイッチに利用する相変化材料をGe2Sb2Te5(GST225)に決定した。GST225の結晶状態での消衰係数による損失をできるだけ抑えるため、方向性結合器を利用したスイッチ構成を提案した。 3)ネットワークシステムでWSSに求められている性能・機能について知見を得、次年度のWSS設計に生かすため、オランダのアイントホーフェン工科大学と共同研究で、石英1×2 WSSを用いた柔軟性の高い新規データセンタネットワークの提案と伝送実験を行った。伝送実験の結果について国際学会OFC2020及び学会誌Optics Expressにおいて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は課題研究において、一年目に該当する。今年度は最終目標である低消費電力で高速な波長選択光スイッチ(WSS)の実現に向け、概ね計画通り、ハイブリッド型WSSの設計と光スイッチ部分の試作を行った。初回である今回の試作では波長数20、出力ポート数2で設計を行った。次年度のスイッチング測定時に様々な機能の動作確認を行えるようにするため、標準的な光スイッチだけではなく、多段にして消光比を上げたスイッチや位相シフト用のヒータなどの素子を集積した。本試作では相変化光スイッチではなく、熱光学効果を用いた光スイッチを用いている。 課題であった450 nmの微小なシリコン光回路への光結合部分は、CMOS光センサへの光結合に用いられているマイクロレンズアレイを自由空間側に採用し、導波路側には光ファイバとの垂直光結合に用いられるグレーティングカプラを集積した。また、結合部分での損失を低減するため、シリコン光回路には2偏波用に2つ回路を用意した。自由空間では電界の振動方向が異なる偏波が二つ存在し、シリコン光回路では1偏波しか伝搬できないため、そのままでは50%の損失につながってしまう。そこで、自由空間光学系で2つの偏波を分離し、それぞれの偏波用の光回路へと結合させることで偏波による損失が生じないよう設計を行った。 スイッチに使用する相変化材料は動作安定性の観点からCDやDVDなどの光記録ディスクに使用されているGe2Sb2Te5(GST225)に決定した。しかしGST225は結晶状態での消衰係数が大きいため、前述したチップ試作で採用しているマッハツェンダー干渉型スイッチを用いると干渉する二つの光の電力が異なるため、損失が大きくなる。そこで、方向結合器型光スイッチを採用し、有限差分時間領域法でのシミュレーションを用いて、サイズ・厚さ等の最適化設計を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度・令和3年度も引き続き、低消費電力な高速WSSの実現に向けて研究計画に沿って課題研究を推進する。 まず令和2年度は、前年度に試作したシリコン光回路とレンズや回折格子を用いて、ハイブリット型WSSを構成し、提案ハイブリット構成でのスイッチング動作の確認や損失や消光比などの特性について測定を行う。令和元年度の試作では、出力ポート数2、波長チャネル数20で設計を行ったが、最終目標は出力ポート数4、波長チャネル数128である。波長数20でのチップサイズが5 mm×15 mmであったため、同様の素子を用いて設計を行った場合、波長数128のシリコン光スイッチは作製可能サイズに収まらない。そこで、128波長分の光スイッチを一つのチップに集積できるように、シリコン光回路上の各種素子の配置の最適化や光結合素子であるグレーティングカプラの小型化を行う。また同時に、低消費電力化を実現するため、相変化材料を用いた光スイッチのシミュレーションを完了し、相変化光スイッチの試作、動作確認を行い、相変化光スイッチの構造の決定を行う。令和元年度に試作したWSSで得られた特性を踏まえ、目標特性を満たすように1×4ハイブリットWSSの再設計を行う。 令和3年度は、シリコン光回路部分の作製を行い、相変化材料を用いた1×4 ハイブリットWSSのスイッチング動作確認及び性能評価を行う。相変化光スイッチは、スイッチング状態の維持に電力が不要であるため、低消費電力だが、スイッチング動作が不安定であることが想定される。そこで同時に、初回の試作で採用した熱光学光スイッチを用いた1×4 ハイブリットWSSの作製も行う予定である。
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[Presentation] Characteristics of 1×2 Silicon Wavelength Selective Switch Using Arrayed - Waveguide Gratings with Fold-Back Waveguides2019
Author(s)
Fumi Nakamura, Hideaki Asakura,Keijiro Suzuki, Ken Tanizaawa, Minoru Ohtsuka, Nobuyuki Yokoyama, Kazuyuki Matumaro, Miyoshi Seki, Kazuhiro Ikeda, Shu Namiki, Hitoshi Kawashima, Hiroyuki Tsuda
Organizer
The 18th International Conference on Optical Communications and Networks
Int'l Joint Research