2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and Observational Research on High-Energy Gamma-Rays from Neutron Star Mergers
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19J21578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津名 大地 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 高エネルギー天体現象 / 中性子星合体 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はブラックホール(BH)形成に付随する突発的な電磁波・重力波放射の理論モデリングに取り組んだ。特に後者では中性子星合体の残骸についても期待されるもので、中性子星合体のその後の運命に関する理解への重要なピースの一つとなるものである。 大質量星が重力崩壊する際、一部の星は超新星爆発に失敗しBHになることが有力視されている。BHを形成する際でも、中心からのニュートリノ放射により中心質量(重力)が減少することにより、外層の一部が放出される弱い爆発が起こると考えられている。我々はこのニュートリノ由来の質量放出がどのように観測されるかを理論的に調べ、超新星より10-100倍程度暗い謎の突発天体 intermediate luminosity red transients を説明できることを示した。この成果をまとめた論文をThe Astrophysical Journal Lettersに出版した。(Tsuna et al. 2020) BHからの重力波観測を用い一般相対性理論からのズレや新たな重力理論を探査する試みがこれまで行われている。代表例として量子重力理論から予言されている「重力波エコー」と呼ばれるBHからの放射に着目し、(i)中性子星合体と(ii)爆発に失敗した超新星から放射されるエコー放射の理論モデルを構築した。(i)に関しては以前報告されていた中性子星合体GW170817に付随する信号が残骸BHからの放射として説明できることを示し、(ii)の重力波に関しては将来の重力波干渉計で数年に1度程度検出が可能なことを示した。これらの成果をまとめた論文2編をPhysical Reviews Dに出版した。(Oshita, Tsuna, Afshordi 2020a,b)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブラックホール形成に付随する電磁波放射に関しては研究成果をTsuna+20 ApJL 897 L44にまとめた。また中性子星合体を含むブラックホール形成現象直後の重力波放射に関しては、2本の論文Oshita+20a,b (PRD 102, 024045;024046)に成果をまとめた。また新型コロナウイルスの影響によりオンラインでの研究が中心であったものの、中性子星合体からのガンマ線のモデリングに重要となる非熱的放射をモデリングするプロジェクトをさらに進展させた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って中性子星合体からのガンマ線をはじめとする非熱的放射を計算するコードを完成させ、放射の明るさと重力波放射を含めた同時観測可能性に関する研究を進めて論文を完成させる。特にこれらの放射の角度依存性に着目することで、観測例を増やすことによって放射の角度や残骸の性質がどのように制限できるかについての研究・議論を行う。中性子星合体の他にも大質量星からのブラックホール形成に付随する電磁波放射についてもこれまでの研究を拡張して研究を進めていく。
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