2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規開発CRISP/Cas9システムによる病原変異の修繕法開発
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19J21619
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大浦 聖矢 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | CRISPR/Cas9 / ゲノム編集 / 遺伝子治療 / ハンチントン病 / CAGリピート |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR/Cas9 システムは小分子RNA (gRNA) とCas9 ヌクレアーゼの複合体により任意の標的DNAを切断する。ただし、標的配列の直下流には 5’-NGG-3’配列が必要で、これが標的配列の制約となる。近年、より任意の配列を標的とした遺伝子改変を実現するために、5’-NGN-3’を認識できる改変型Cas9の開発に携わり、共著者として報告した。そこで本研究では、この改変型Cas9を用いて、従来の野生型Cas9ではアクセスできなかったハンチントン病の過伸長CAGリピート配列の修復法開発に取り組んだ。 まず、ES細胞・受精卵における、改変型Cas9のNG(A/T/C)-PAMを有する標的配列の切断効率を調べた。その結果、ES細胞においては、改変型Cas9は野生型Cas9よりも効率よくNG(A/T/C)-PAMを有する標的ゲノムDNAを切断した。しかしながら、受精卵においては、改変Cas9を使用しても、NG(A/T/C)-PAMを有する標的ゲノムDNAは殆ど切断されなかった。 続いて、ハンチントン病のモデルマウスからES細胞を樹立し、Htt遺伝子のリピート配列に対して特異的な4種類のgRNAをそれぞれ導入した。その結果、gRNA-s2を導入した群において、10%程度のクローンでリピート配列が遺伝子破壊を伴わずに短縮 (治療) された。治療効果を評価するために、ES細胞から分化誘導した神経細胞を解析したところ、治療群では病状が見られなくなっていた。さらに、治療ES細胞からマウスを復元し個体レベルでも解析したところ、加齢してもハンチントン病が発症しないことが確かめられた。現在、学術論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハンチントン病モデルマウスから樹立したES細胞において、過伸長CAGリピート配列を短縮を試み、計画通りに研究を遂行した。研究成果の一部は学会でも報告し、学術論文にも投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、過伸長CAGリピート配列の短縮方法を開発した。今後は、患者由来のヒトiPS細胞を用いた実験により、さらなる実用可能を検討する。
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Research Products
(2 results)