2021 Fiscal Year Annual Research Report
荷電レプトンフレーバーを破るミューオン稀崩壊現象の探索による新物理理論の検証
Project/Area Number |
19J21730
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 暁 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 素粒子物理実験 / ミューオン / ガンマ線 / 液体キセノン / 荷電レプトンフレーバー |
Outline of Annual Research Achievements |
素粒子物理実験領域では、素粒子の相互作用を説明する理論である標準理論を超える理論的枠組みの模索が行われている。特に、荷電レプトンフレーバー保存の破れ(cLFV)はいくつか提案されている新物理の枠組みで観測可能であり、その発見に大きな期待が寄せられている。 MEG II実験はcLFV過程の1つであるμ→eγ崩壊を前身のMEG実験に比べ10倍の感度で探索する実験であるが、それに必要な高精度なガンマ線検出のために液体キセノンとそのシンチレーション光を検出する光センサーを使用する。 2021年度は全ての検出器とその読み出し回路が揃い、物理データ取得に向けた最終準備を行った。まず新しく導入された読み出し回路のノイズ状況を調べ、ガンマ線測定に問題がないレベルであることを確かめた。その上で、光センサーを全数読み出して性能評価を行い、ビーム環境下での性能モニターの準備を整えた。ビームタイムが始まってからはμ→eγ崩壊データの取得に必要なガンマ線のエネルギー・時間・位置情報の再構成を通して物理データ取得のためのトリガーの開発に貢献した。 9月後半からはμ→eγ崩壊の探索を開始した。大強度ミューオンビーム環境下で物理データを取得するにあたり問題となったのは、大きなデータ量とガンマ線のエネルギー再構成における大きな非一様性であった。そこで、取得したデータのうちガンマ線再構成に影響しない冗長な部分を削減したほか、エネルギーの一様性を回復するアルゴリズムを開発したことで、大強度ミューオンビーム下での高効率な物理データ取得に成功した。 12月にはパイオンビームを使用したガンマ線のエネルギー・時間分解能の測定を行い、検出器全体での分解能を測定した。以上のように、2021年度はMEG II実験最初の物理データ取得に漕ぎ着け、その解析に必要なガンマ線分解能を測定することに成功した。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)