2019 Fiscal Year Annual Research Report
環境エネルギーによって駆動するハイドロゲルマイクロロボット
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19J21735
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 光輝 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 刺激応答性ゲル / マイクロロボット / 螺旋形状 / 自律制御 / 外部環境センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は外部環境に遍在する温度や光からエネルギーを供給するシステムを構築することで,推進力を得る螺旋状マイクロロボットの構築を目指した研究である.2019年度は磁性ナノ粒子内包スプリングの構築及び磁場による回転推進のセットアップ構築,刺激応答性ゲルを用いた螺旋形状の変形,有限要素法シミュレーションの導入を行った.初めに,磁性ナノ粒子を分散させたアルギン酸ナトリウム溶液を用いて,磁場に応答するマイクロロボットの構築を行った.磁場に封入する磁性ナノ粒子の濃度と磁場への応答性を確認し,実験に使用する濃度の選定を行った.磁場印加による螺旋状マイクロロボットの回転推進のために,ヘルムホルツコイルや電流制御装置などの磁場印加セットアップを構築した.構築した磁場印加装置で発生可能な回転磁場の大きさと印加する電流の大きさの関係をテスラメータによって測定した.また,螺旋状マイクロロボットの回転推進観察するためのデジタルカメラを用いた観察セットアップを構築した. 次に,螺旋状マイクロロボット内部へ刺激応答性ゲルのパターンを実施した.刺激応答性ゲルは温度・pHに応じて膨潤収縮する特性を有するNIPPAm-co-AAcを用いる.刺激応答性ゲルのパターンのために新たにマイクロ流体デバイスをデザインし,2光子励起光重合装置を用いて作製した.作製したマイクロ流体デバイスを用いて刺激応答性ゲルをパターンした螺旋状マイクロロボットを構築した.構築したマイクロロボットの温度刺激による螺旋形状の変形をマイクロスコープによって観察した.螺旋形状の変形のモデル構築のために,有限要素法シミュレーション(COMSOL)を導入した. 2019年度の研究実績は,螺旋状マイクロロボットの構築方法の確立および回転による推進可能であることを示したことは本研究の目的を達成する上で重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は計画していた磁性ナノ粒子内包スプリングの構築及び磁場による回転推進セットアップの構築,刺激応答性ゲルを用いた螺旋形状の変形,有限要素法シミュレーションの導入を達成した.計画していた事項を達成したため,概ね順調に研究が進展したと考える.磁性ナノ粒子を分散させたアルギン酸ナトリウム溶液を用いて,磁場に応答するマイクロロボットの構築に成功した.磁場印加による螺旋状マイクロロボットの回転推進のために,ヘルムホルツコイルを用いて磁場印加セットアップを構築した.また,螺旋状マイクロロボットの回転推進観察するためのデジタルカメラを用いた観察セットアップを構築した. 次に,螺旋状マイクロロボット内部へ刺激応答性ゲルのパターンを実施した.刺激応答性ゲルのパターンのために新たにマイクロ流体デバイスをデザインし,2光子励起光重合装置を用いて作製した.作製したマイクロ流体デバイスを用いて刺激応答性ゲルをパターンした螺旋状マイクロロボットを構築に成功した.構築したマイクロロボットの温度刺激による螺旋形状の変形をマイクロスコープによって観察した.最後に,螺旋形状の変形のモデル構築のために,有限要素法シミュレーション(COMSOL)を導入した.磁性ナノ粒子を内包したスプリングの構築及び回転運動に関して,Transducers2019 Berlin 6/23-27で発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
初めに螺旋状マイクロロボットの自律的な推進制御の実現に向けて,有限要素法シミュレーションを用いて螺旋形状の変形のモデル化を行う.シミュレーションに用いるハイドロゲルのヤング率やポアソン比といった材料パラメータは作製したハイドロゲルを用いて測定する.測定装置はフォースゲージや1軸ステージを組み合わせることで作製する.変形シミュレーションの妥当性の評価には,理論的な変形量を求めやすいファイバ形状で行う.変形シミュレーションは2019年度に導入したCOMSOLを使用する.刺激応答性ゲルのパターンを変化させた時の変形挙動を解析し,その結果をもとに理論的な推進速度変化を算出する.算出した推進速度変化の結果をもとに推進制御のモデル化を行う. 次に,磁場応答性および刺激応答性を有する螺旋状マイクロロボットの構築を行う.螺旋状マイクロロボットへの磁場応答性付与のために,磁性ナノ粒子をアルギン酸ナトリウム(非応答性ゲル)とNIPAm-co-AAC(刺激応答性ゲル)にそれぞれ分散した場合の回転磁場への応答性を観察する.また,磁性ナノ粒子を刺激応答性ゲルに分散させた場合の温度応答性を測定する.前年度作製したマイクロ流体デバイスを用いて刺激応答性ゲルをパターンした螺旋状マイクロロボットを構築する.その後,構築した螺旋状マイクロロボットに熱刺激を与えた場合の変形挙動を観察し,シミュレーション結果と比較する. 最後に,螺旋状マイクロロボットの外部環境に応じた推進制御の実現を目指す.螺旋状マイクロロボットの推進中に刺激を与えるための実験セットアップを構築する.推進中の螺旋状マイクロロボットへの熱刺激の印加方法は,湯煎のように周囲から熱を与える方法や赤外光を利用した方法などを検討している.螺旋状マイクロロボットの回転磁場による推進中への熱刺激の印加および螺旋形状の変形,推進速度の変化を観察する.
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Research Products
(7 results)