2019 Fiscal Year Annual Research Report
革新的制振機能を有する3次元フォノニック結晶の高速トポロジー最適化
Project/Area Number |
19J21766
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松島 慶 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
|
Keywords | トポロジー最適化 / フォノニック結晶 / 境界要素法 / 弾性波 / 散乱解析 / S行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は高速なトポロジー最適化アルゴリズムに基づく革新的な制振機能を有する2次元フォノニック結晶の設計法の開発であり,本年度は主に3次元構造の解析・設計の前段階として2次元問題を対象とした弾性波動解析手法の構築に関する研究を行った. まず,2次元周期構造による弾性波散乱解析のための境界要素法を構築し,Hマトリクス法を用いてこれを高速化した.このソルバを所属研究室が開発しているトポロジー最適化アルゴリズムと組み合わせることで,弾性波に対して負の屈折,モード変換,高効率エネルギー散逸を可能にするデバイスが設計可能であることを示した. 次に,3次元構造の解析および最適化に向けたさらなる計算の高速化に向けて,S行列と境界要素法を組み合わせる方法を考案し,2次元周期問題についてプログラムの実装およびパフォーマンスの検討を行った.本手法は計算効率の向上のみならず,境界要素法のみでは困難である半無限結晶構造の解析を可能にする. 次に,外部定常波動場の複素固有値に関するトポロジー導関数を新たに導出し,従来あまり議論されていない外部問題に関する固有値のトポロジー最適化が可能であることを示した.これは実の周波数での散乱を対象とするトポロジー最適化では扱いが困難である,共鳴を由来とする特異な現象を発現するデバイスの設計に有用であると考えられる. 最後に,周期構造に関して考案したS行列と境界法に基づく散乱解析法を拡張し,非周期構造の解析に適用する方法を考案した.本手法は多数の有限個の散乱体から成る多体系における散乱を従来の境界要素法と比較して高効率に解析することを可能とする.特に,散乱体の平行移動や回転がS行列に対する代数的演算に帰着する点に着目し,多体系中の散乱体の配置角に関するパラメータ最適化を非常に容易に行うことができることを示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度行った2次元構造の解析およびトポロジー最適化は当初から計画していたものであり,得られた成果は最終目的である3次元構造の最適化の実現に向けた足がかりとなるものである.したがって,本年度の研究はおおむね順調に進展していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を一部変更し,まず本年度考案した境界要素法とS行列を組み合わせた新たな弾性波散乱解析法を3次元解析に拡張することを予定する.これは当初予定したHマトリクス法に基づく方法と比較して,さらなる計算の高速化が期待できるものである.次に,設計感度となるトポロジー導関数の導出とその検証を行う予定である.
|