2020 Fiscal Year Annual Research Report
革新的制振機能を有する3次元フォノニック結晶の高速トポロジー最適化
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19J21766
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松島 慶 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | トポロジー最適化 / フォノニック結晶 / 音響メタマテリアル / 境界要素法 / 散乱行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,まず前年度に行った散乱行列に基づく多重散乱解析法を高周波問題に適用するための新規手法を開発した.本手法は従来手法の欠点である高周波問題における計算効率の低下を大きく改善するものである.次に,周期構造中の音響場の固有モード解析法を新たに考案し,周期構造を伝播する導波モードを対象とするトポロジー最適化を行った.本手法は近年注目を集めているbound state in the continuumが構造の最適化によって実現可能であることを示し,この高いQ値を有する固有モードを利用したセンシングデバイスや導波デバイスへの応用が期待できる.その後,本研究が考案した大規模散乱解析手法を用いることで,多体散乱中の散乱体の並行移動や回転などの幾何学的操作が代数的演算に帰着される点に着目し,多体系の散乱体の配置角に関するパラメータ最適化を行う効率的な手法を提案した.さらに,既存のトポロジー最適化と本手法を組み合わせることで,より自由度が大きい大規模構造の最適設計が可能となることを示した.最後に,さらなる先進的な制振・音響デバイスの創成を目的として,音響メタマテリアルの設計に取り組んだ.本研究は音響メタマテリアルのマクロな材料特性がミクロ構造の共鳴に由来することに着目し,このミクロ構造の複素固有値をトポロジー最適化によって適切に配置することで所望の周波数で負の屈折率を示す音響メタマテリアルを設計する手法を開発した.この最適化したミクロ構造を配列した材料に対して前述の多重散乱解析を実施し,設計した音響メタマテリアルの性能の評価を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果は,本研究課題の目的であるフォノニック結晶の高速トポロジー最適化を実現するための足がかりとなるものであり,特に大規模構造中の音響散乱解析を可能とする数値解析手法を考案したことは目標の達成に大きく寄与するものである.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った2次元構造を対象とする解析・設計手法を3次元構造に拡張することを目標とする.そのために,まず3次元音響・弾性場における散乱行列の計算法の確立とそれに基づく多重散乱解析法を開発する.その後,これを既存のトポロジー最適化アルゴリズムと組み合わせることで,高速な3次元フォノニック構造の最適設計法を考案する.
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