2020 Fiscal Year Annual Research Report
配位子交換を用いた全塗布型超高性能ペロブスカイト量子ドットLEDの開発
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19J21788
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
江部 日南子 山形大学, 有機材料システム研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ペロブスカイト / 量子ドット / エネルギー移動 / LED |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ペロブスカイト量子ドット(PeQD)間のエネルギー移動により発光量子収率およびデバイス性能の向上を達成した。これまで、配位子交換やハロゲン化金属化合物などの表面修飾処理がPeQD-LEDの高性能化の主流となりつつある。一方、準2D構造のペロブスカイト化合物において、PeQD間におけるフェルスター共鳴エネルギー移動に由来するエネルギー移動が放射失活率を高め、デバイス性能を改善することが報告されている。本研究では、異なるバンドギャップ(Eg)をもつドナーQDおよびアクセプターQD を合成し、PeQD間におけるエネルギー移動によりデバイスの高性能化を目指した。 まず、ホットインジェクション法によりペロブスカイトQDを合成し、反応温度により粒径を制御した。光学特性評価より、100度において632 nm、160度において651 nm の発光波長が得られた。透過型電子顕微鏡による粒子径測定より、100度において平均粒径 4 nmおよび160度において平均粒径 6 nmが確認され、それぞれドナー(4nm)およびアクセプター(6nm)として用いた。次に、ドナーQDをアクセプターQDに対し、体積比20%から80%添加し、発光特性を評価した。その結果、ドナー添加量を20%から60%に増加するに従い、PLQYが35.8%から50.2%まで大幅に改善した。これは、ドナーからアクセプターへの効率的なエネルギー移動が生じ、放射失活率の増大によりPLQYが向上したと示唆される。最後に、ドナー・アクセプター混合したPeQD膜を用いてデバイスを作製した。その結果、最大外部量子効率は、アクセプターQDの8.1%からドナー・アクセプター混合QDにおいて9.1%まで向上した。 以上より、ドナーおよびアクセプターQD間の効率的なエネルギー移動によりデバイス性能の向上を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、配位子交換によるペロブスカイトQD-LEDの全塗布化および高性能化が目的である。1年目には、架橋性アルキルジアミン配位子による優れた発光量子収率およびQD膜の不溶化を実現し、全塗布型デバイスの基盤技術を確立した。一方で、デバイス寿命および高効率化が依然として達成されておらず、これらを早急に解決する必要がある。本年度は、配位子による表面欠陥補填に加え、QD間による効率的なエネルギー移動を用いて、発光量子収率およびデバイス性能の改善を達成した。ペロブスカイトQD-LEDにおいて、エネルギー移動による高性能デバイスに関する報告は、これまでほとんどなく、極めて新規性能高い技術である。今後は、これらのエネルギー移動による更なる高効率・長寿命化を目指し、研究を進める。 以上より、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現状のペロブスカイトQD-LEDは、デバイス寿命が数時間程度と低く、更なる長寿命化を達成する必要がある。これらの要因に、表面長鎖アルキル配位子によりQD膜の電荷輸送性が大幅に減少し、膜内部のキャリバランスが乱れ、励起子-電荷の相互作用(Auger再結合)により、デバイス寿命の低下を引き起こすと考えられる。3年目では、配位子置換および効率的なエネルギー移動によるAuger再結合を抑制し、デバイス寿命の向上を目指す。さらに、デバイスの劣化解析により、より詳細に長寿命化に向けた技術の確立を目指す。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Bipolar-shell resurfacing for blue LEDs based on strongly confined perovskite quantum dots2020
Author(s)
D. Yitong,Wang Y-K, Y. Fanglong...E. Hinako, T. Petar, D. Filip, L. Peicheng, K. H. Ting, S. Makhsud I, K. Eugenia, S. Erdmann, Liao L-S, V. Oleksandr, Lu Z-H, S. Edward H.
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Journal Title
Nature Nanotechnology
Volume: 15
Pages: 668~674
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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