2019 Fiscal Year Annual Research Report
自然宿主コウモリにおけるレオウイルスの特異的な複製制御機構の解明
Project/Area Number |
19J21852
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
納田 遼太郎 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
|
Keywords | 自然宿主 / コウモリ / レオウイルス / 機能の解明 / 複製制御 / 特異的 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コウモリを自然宿主とするPteropine orthoreovirus (PRV)の非構造タンパク質p17がウイルス複製制御因子として宿主特異的に機能するメカニズムを明らかにするために以下の研究を行った。
1. PRVに近縁なウイルスのp17 相同タンパク質の機能解析 PRV p17はウイルス性因子Aの活性をコウモリ由来細胞特異的に活性化し、効率的なウイルス複製に寄与していることがわかっている。他のウイルスのp17相同タンパク質についても同様に機能するかを確認するため、PRVに近縁な3種のウイルスのp17相同タンパク質をクローニングし、それらの因子A活性能をコウモリ由来細胞を用いて調べた。その結果、実験に用いたすべてのp17相同タンパク質は、PRV p17と同様に因子Aを活性化することが確認された。特にPRVと近縁なコウモリ由来ウイルスのp17相同タンパク質はPRV p17と同じく、高い因子A活性能を示した。 2. p17 相同タンパク質がウイルス複製に与える影響の解析 各p17相同タンパク質が因子Aを活性化した際に、ウイルス複製に与える影響を調べた。各p17相同タンパク質と因子Aを共発現させたコウモリ由来細胞に、p17-因子A欠損ウイルスを感染させ、感染24時間後のウイルス量をプラークアッセイ法により測定した。その結果、PRVまたは他のコウモリ由来ウイルスのp17相同タンパク質を因子Aと共発現させた細胞でのみ、有意にp17-因子A欠損ウイルスの複製能が回復した。コウモリ由来ウイルスのp17のみが、ウイルス複製能を増加させることから、p17は宿主特異的に機能するウイルス複製制御因子であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画通り、他のウイルスのタンパク質についての解析を行うことができた。その結果、p17相同タンパク質が宿主特異的に機能する因子であることが示唆される結果が得られており、研究計画は順調に遂行されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
p17が因子Aを活性化する分子メカニズムを解明するため、p17や因子Aの変異体を複数作製し、その機能を評価することで両タンパク質の相互作用に重要なペプチド領域の探索を行う。
|
Research Products
(3 results)