2021 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟な発光団に基づく高輝度張力プローブの開発と分子解像度の応力解析への展開
Project/Area Number |
19J22034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山角 拓也 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 蛍光分子 / 張力プローブ / ゲル / メカノフォア / 高分子 / ポリウレタン / レオロジー / 可視化技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室では、光照射により励起状態でV字型から平面型へとコンフォーメーション変化を起こす「羽ばたく光機能分子FLAP」についての研究に取り組んでいる。その中でも私は、FLAPが力に応じてV字型から平面型へ構造変化して青色から緑色へ蛍光色変化を示す特徴を利用し、青と緑の2色の蛍光強度比を利用したレシオ解析により高分子材料にかかるナノ応力集中を定量するForceプローブを開発している。特に私は、アントラセン骨格をもつ従来型FLAPが溶媒存在下では力学負荷のない状態でも自発的に平面化してしまうため湿潤環境では利用できないという問題点に一貫して挑戦してきた。 前年度までに私は、ピレン骨格をもつFLAP分子を設計・合成し、このFLAP分子が溶媒を含む高分子ゲル中でも力学応答をわずかに示すことを予備的に確認していた。当該年度では、ゲルの作製・測定方法を改善することで、より力学応答を明確に観測することが可能となった。具体的には、ゲルが容易に破断する引張試験ではなく比較的強い力を加えることが可能な圧縮試験を採用し、FLAPを導入する高分子材料として採用した架橋ポリウレタンの合成条件や膨潤させる有機溶媒の選択に関して充分な検討を行なった。その結果、圧縮と除荷に対してFLAPを導入した高分子ゲルは迅速かつ可逆に明確な蛍光応答を示し、その応力分布はピクセル毎に蛍光スペクトルが取得できるカメラによって、0-1 MPaの小さな応力範囲で蛍光レシオイメージングができることを実証した。 以上のように私は、有機溶媒で膨潤した高分子ゲルを圧縮した際に生じるナノ応力集中をピレン型FLAPを用いて可逆的に可視化した。近年、高分子ゲルの力学的な脆弱性を克服すべく様々な強靭化戦略が取られているが、本研究で開発したForceプローブはそれらの強靭化メカニズムを分子レベルで解明する新たな手法として期待できる。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)