2020 Fiscal Year Annual Research Report
ドライアイ防止に働く極長鎖ワックスエステルの生合成機構の解明
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19J22148
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤井 恵 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ドライアイ / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,作製したAwat1および2単独ノックアウト,Awat1 Awat2 二重ノックアウトマウス(A1 KO, A2 KO, DKO)の眼球表面やマイボーム腺における詳細な表現型解析,および細胞系における解析系の検討を行った。野生型マウス(WT)がほとんど瞬目しないのに対し,KOではそれぞれ瞬目回数が有意に増加していた。眼球表面からの蒸散量はA2 KOおよびDKOで有意に亢進していた。続いて各マウスよりマイボーム腺を摘出し,実体顕微鏡下で観察した。WTでは体温で透明・液状であるマイバムが,A1 KOでは半固体状になっており,A2 KOおよびDKOでは完全に固化していた。また,A2 KOおよびDKOマイボーム腺は肥大化していた。ヘマトキシリン/エオジン染色によってマイボーム腺の詳細な構造を観察したところ,A2 KOおよびDKOのマイボーム腺導管が拡張していた。A2 KOおよびDKOでは固化したマイバムが排出されないため,導管内部にまでマイバムが蓄積し,マイボーム腺が肥大化したと考えられる。昨年度検討した細胞解析系を用いてヒト/マウスAWAT活性の比較を行うため,初めにマウスAwat1およびAwat2のクローニングを行った。更なる検討の結果,ELOVL4過剰発現とエルカ酸添加の系よりも,ELOVL3過剰発現と分岐鎖脂肪酸添加の系の方が感度良く解析できることがわかった。そこで,HEK293T細胞にELOVL3,FAR1と共にヒトAWAT1/2あるいはマウスAwat1/2を過剰発現させたところ,全てのAWATがWE合成活性を示した。A1 KOではWEが減少しておらず,A2 KOでほぼ消失していたことから,少なくともマウスAwat1はマイボーム腺においてWE産生に関与していないと考えられる。この問題点を解消するため,今後は細胞種を変更するなどして条件検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウスの表現型解析については,予定していたすべての解析(瞬目数計測,涙液蒸散量測定,涙液量測定,マイボーム腺観察,ヘマトキシリン・エオジン染色による角膜とマイボーム腺切片の観察)を行うことができた。また,当初は予定していなかったが,フルオレセイン染色法による角膜障害評価や涙液層破壊時間(Break-up time; BUT)測定による涙液層安定性評価といった,臨床でも用いられているドライアイ評価系の検討を始めている。これらの実験については技術を要するため,現在野生型マウスを用いて検討と練習を重ねている。一方細胞系に関しては,マイボーム腺における酵素活性を反映できていないという大きな問題点を孕むことが明らかになった。ノックアウトマウスの解析によりAwatの酵素活性は十分に評価できているため,今後はノックアウトマウスの解析を中心に行いつつ,細胞種を変更するなどして細胞解析系の改善を目指していく。以上の理由から,全体的な進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ノックアウトマウスについて,ドライアイ表現型に関するさらなる解析を行い,Awat1/2のドライアイ防止における役割を明らかにしていく。得られた知見を論文にまとめ,国際誌に発表する。また,Awat1/2については皮脂腺においても発現していることが報告されているため,ノックアウトマウスの毛や皮膚,脂質組成に異常がないかについても詳細に解析していきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)