2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of ecology required for habitat conservation of endangered forest-dwelling raptors and selection of the large scale protected area
Project/Area Number |
19J22186
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
夏川 遼生 横浜国立大学, 環境情報学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 猛禽類 / 絶滅危惧種 / 生息地保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
頂点捕食者である猛禽類は,捕食を介したトップダウン効果によって生態系の安定性を向上させることができる.さらに,彼らは広大な行動圏と高い生息地の要求性を持つため,その生息地を保全することで他種の保護にもつながる可能性がある.これらのことから,猛禽類個体群の保護とその生息地の保全は,生物多様性保全に重要であるといえる.本研究の目的は,森林地帯に生息する猛禽類の保護とその生息地保全に必要な情報(繁殖分布とその動態,繁殖成功度,可能ならば死亡率)を整理し,これらに影響する要因を特定することである.
研究開始年度である2019年度は,様々な猛禽類の繁殖分布,繁殖成功度を把握するための現地調査を中心に行った.現地調査では,本研究に必要な情報を十分に収集することができた.ただし,研究結果の妥当性を強化するためには,多くのデータが必要であるため,2020年度も同様の現地調査を継続して行う予定である.また,2019年度は既知のデータと現地調査により取得したデータを組み合わせて,猛禽類の繁殖分布とその動態,繁殖成功度に影響する環境要因を解析した.その結果,解析対象としたすべての種でこれらの変数と環境要因の間に密接な関係が認められた.このうち,オオタカについては,十分なデータが利用可能であったため,研究成果をUrban Forestry & Urban Greening誌およびJournal of Raptor Research誌にて発表した(筆頭著者).さらに,日本に生息するイヌワシ個体群とその生息地保全に必要な情報を整理し,Japanese Journal of Zoo and Wildlife Medicine誌にて発表した(共著者).そして,飛翔写真を使用してサシバの雌雄識別を容易に行うことができる方法を開発し,Journal of Raptor Research誌にて発表した(共著者).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査で本研究に必要なデータを十分に収集することができ,得られたデータを使用して試験的な解析を実行した結果,予想通りの結果が得られた.さらに,十分なデータが得られたテーマについては論文を執筆し,それらを公表することができた.これらのことから,本年度の進展状況はおおむね順調であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に引き続き,2020年度もさらなる現地調査を行い,データの収集に努める予定である.そして,2019年度に成果を発表できなかったテーマに関しては,調査と並行して解析を進めるとともに,得られた成果を積極的に論文として発表していく予定である.
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