2021 Fiscal Year Annual Research Report
合体銀河中の活動銀河核の探査と多波長追求観測による銀河ブラックホール共進化の解明
Project/Area Number |
19J22216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 智史 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 巨大ブラックホール / 活動銀河核 / X線天文学 / 多波長天文学 / 赤外線銀河 / 合体銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、銀河と超巨大ブラックホール (Supermassive Black Hole; SMBH) の共進化の物理的起源の解明である。前年度に続き、銀河同士の合体段階で急速に進化中の種族である超/高光度赤外線銀河84天体に着目し、SMBHへの質量降着機構を調べた。同研究室が開発した最新のX線モデルを適用することに加え、5つのX線衛星による約20年分の観測データを系統的に解析することで、銀河とSMBH間の質量輸送に関わるトーラス構造の物理的描像を得ることに成功した。特に合体末期では、激しい質量降着率によりSMBHが進化するだけでなく、輻射圧による莫大な質量輸送機構(アウトフロー)により銀河進化が制御されることも示唆された。本成果は学術論文として出版されている (Yamada et al. 2021, ApJS, 257, 61)。 一方で、現状でのアウトフローの性質を導出する手法が、輝線/吸収線の青方偏移量の測定などに限られており、アウトフローを検出できた例のほとんどは合体末期の銀河のみであった。アウトフローの成長過程を正しく評価するには、新たな手法を開発し、他の合体段階におけるアウトフローも含めて系統的に調査することが不可欠である。そこで我々は、X線解析で使用したトーラスモデルの構造に加え、アウトフローのダスト成分と考えられるポーラーダストの構造も考慮した赤外線放射モデルを開発した。これを多波長放射モデルに実装し、同じ84天体を対象にX線から電波までの多波長データ解析を行い、ポーラーダストの性質に強い制限を与えた。その結果、合体が進むにつれてポーラーダストの光度は増加するが、一方でダストの平均温度は減少する傾向を初めて発見した。この結果は、合体が進むにつれてアウトフローが発達し、銀河スケールにまで広がったポーラーダストを形成していく描像を支持する。本成果も執筆中であり、ApJSに投稿する予定である。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(18 results)