2020 Fiscal Year Annual Research Report
原子分解能透過電子顕微鏡観察による有機単分子の絶対立体配置決定
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19J22319
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀井 恒 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 透過電子顕微鏡 / 三次元解析 / 有機単分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子が持つ究極的な三次元構造情報といえる絶対立体配置は,キラルな天然有機化合物や医薬品の生理活性の機能発現等の鍵となる非常に重要なファクターである.したがって,現在までに絶対立体配置を決定するための分析手法が開発されてきた.本申請課題の目標は,キラルな有機分子の絶対立体配置を従来のマクロかつ間接的な分析手法ではなく,原子分解能を持つ透過電子顕微鏡(TEM)での単分子観察により直接的に決定することである.ここで鍵となるのは,有機単分子の三次元的な構造情報を得るための新たなTEM観察技術の開発と,適切な担体上に観察対象分子を孤立させる手法の開発である. 初年度は本申請課題の鍵となる三次元TEM解析法の開発として,TEMシミュレーションを用いた検討を行った.本年度は,初年度に解析した手法を実際の有機分子のTEM観察に適用した.マーカー原子を持つ単純な有機分子(群)をカーボンナノホーン(円錐状カーボンナノチューブ)の内外に担持し,原子分解能TEMによる単分子観察および三次元解析を行った.これにより,マーカー原子の三次元位置情報をナノメートル以下の分解能で取得することに成功し,実験的に得られた位置情報を用いて対象有機分子の三次元構造を再構成することに成功した.また,得られた三次元構造を想定される分子モデルと比較し,本解析手法の妥当性を詳細に比較検証した. 本研究の過程で,カーボンナノホーン内外に担持可能な有機分子のサイズや官能基などの構造情報に関する知見が得られた.この知見を用いて,来年度の解析対象になる有機キラル分子の構造も選定検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度に開発した三次元TEM解析法を実際の有機分子に適用した.マーカー原子を持つ単純な有機分子を担体となるカーボンナノホーン内外に担持し,TEM観察および三次元解析によって対象分子の三次元位置情報および構造情報を得ることに成功した.また,得られた三次元情報を分子モデルと比較し,解析の妥当性を検証した.本手法により原子分解能での三次元構造情報抽出が可能であることがわかったので,本課題の目標であるキラル有機分子の解析へと繋がる結果が得られたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本解析が適用可能な有機分子の構造条件を検討し,本課題の目標であるキラル分子の解析および絶対立体配置決定を行う.解析対象となるキラル分子として,軸キラリティや点キラリティを有する分子を選定し,鋭意検討を行う.また研究が順調に進んだ場合,単分子TEM観察によってのみ解析することができる局所的な相互作用を明らかにするべく検討を行う.バルク測定では埋もれてしまう不斉分子の混合比などの情報を,ミクロなTEM解析から取得することを目指す.
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Research Products
(2 results)