2020 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習と材料データベースを活用したハイスループット計測データの自動解析
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19J22340
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
鈴木 雄太 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | マテリアルズインフォマティクス / 機械学習 / 材料科学 / X線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶構造の同定は材料研究の始点であり、結晶構造の分析のため粉末X線回折法(PXRD)が広く用いられている。粉末XRDパターンを人間が見て直接理解することは難しいため、結晶構造の情報を抽出するためにリートベルト法と呼ばれるデータ解析法が広く用いられている。これは予め仮定しておいた結晶構造モデルからPXRDパターンをシミュレーションし、その結果が測定したPXRDパターンに一致するように構造モデルをアップデートする手法である。リートベルト法は結晶構造についての様々な情報を得ることができる一方で、解析に試行錯誤や熟練を要するため、解析に大きな時間的コストがかかるという点で課題があった。そこで私はリートベルト解析のワークフロー全体をブラックボックス最適化(数理最適化の問題設定の一つであり、具体的な関数形がわからない関数の最適化を扱うもの)の問題として定式化することでリートベルト法を自動化することに成功し、熟練者と同等以上の精度の結果が得られることを示した。 またリートベルト法をはじめとした物理シミュレーションベースの手法とは異なるアプローチによるPXRDデータの分析法として、昨年度より、機械学習を用いて目的の物理量を直接PXRDデータから予測する手法の開発に取り組んできた。今年度は、高速かつ高精度な予測の実現に加え、実際の実験における様々な制約にも対応した手法を開発した。 以上の成果はオープンアクセス論文として出版したほか、開発したソフトウェアのソースコードやデータも公に公開している。 さらに、これらの手法を実際の測定データに適用するため、放射光施設やラボ用装置を用いて様々な条件でのPXRD測定を行いベンチマーク用データを取得するとともに、これらのデータから得られた知見をもとに手法の拡張に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響を受けて学会のキャンセルなど研究計画に変更が生じたものの、進行中の研究について着実に成果を出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、これまでに開発した手法を実世界の計測データ解析に応用するための拡張に取り組む予定である。しかしCOVID-19および緊急事態宣言等の影響を受けて実験の機会が限られている状況にあり、今後の見通しも不明である。そのため、今年度後半に取得した実験データおよび、オープンデータを用いても研究を進められるよう準備を進めている。
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