2021 Fiscal Year Annual Research Report
惑星や衛星の熱水環境がもたらすハビタビリティに関する研究
Project/Area Number |
19J22396
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 夏実 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
|
Keywords | 初期火星 / 粘土鉱物 / 水熱反応 / 地球化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、大気酸素に敏感な還元型鉄粘土鉱物(二価鉄サポナイト)の合成、およびこれを用いた水熱実験の手法開発を行った。 今年度は、まず二価鉄サポナイトの顕微化学分析を大気中の酸素の影響を及ぼさずに行う手法を実証し、また半日程度の大気暴露の分析結果への影響を評価する実験も行って、これらの内容を国際誌に論文発表した。 また、水熱実験から炭酸ガスや硫化水素ガスの還元反応が示唆されていたことを受けて、反応の再現性やメカニズムを精査することを目的に体系的な実験を行った。具体的には、同位体ラベリングの手法を用いた有機物生成経路の判定を行い、検出された有機物は二酸化炭素の還元に由来するとは断定できない結論に至った。一方水素の生成反応は二価鉄サポナイトと硫化水素の両方が共存する場合において特異的にみられた。最大3カ月の反応時間の実験を100通り以上実施し、ガス組成の定量分析・溶存イオン濃度・鉱物中の鉄化学種の走査型透過X線顕微鏡解析を行った。これらの結果の総合的な解釈から、二価鉄サポナイトが鉄供給源かつ還元剤として水素生成反応に直接的な寄与を持つことを示した。得られた定量的な結果をもとに、初期火星気候やハビタブル環境進化に対する、地下の二価鉄サポナイトとガス含有流体との反応の影響を推定した。火山由来の供給に匹敵する量の水素が地下の二価鉄サポナイトによる硫化水素還元でもたらされた可能性が示唆された。このことは初期火星の温暖気候の持続性や地下生命圏への生命利用可能エネルギー供給存否に対する重要性を意味する。
|
Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|