2020 Fiscal Year Annual Research Report
高線量場計測を目指した近赤外発光シンチレータの開発
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19J22402
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
赤塚 雅紀 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | シンチレータ / 近赤外 / 単結晶 / 高線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高線量場計測応用を想定した新規近赤外発光シンチレータの開発を目的とする。今年度は以下の二点について研究を行った。 ・近赤外発光シンチレータの放射線検出器特性を評価する測定システムの組み立て これまで直接サンプルに照射した放射線量と発光強度の関係を1 mGyから10 Gyの範囲で測定していた。この測定系では最大で10分間サンプルに放射線を当て続ける必要があり、高線量場計測を想定すると数秒という短時間で計測を完了させる必要がある。そこで1時間辺りの線量率を10秒で計測できる測定システムを立ち上げた。サンプルに放射線を照射した際のシンチレーション光を、光ファイバを経由してInGaAsフォトダイオードで検出し、その際に流れる電流値を測定する。各々の照射線量に対する電流値を測定することで線量率応答特性の評価を行う。この測定系はシンチレーション光を分光しないため、より多くの近赤外光子がInGaAsフォトダイオードに届くため、感度が既存の計測系より高いことが期待できる。 ・近赤外発光シンチレータの作製と評価 作製するサンプルは光学的バンドギャップが低く、励起される電子の数が増え、発光効率が高くなることが期待できるバナジウム複合酸化物単結晶に着目した。GdVO4をホストとして、近赤外域で高い発光効率が期待できる発光中心として様々な濃度でNdを添加した単結晶を作製し近赤外発光シンチレータとしての特性を測定した。放射線検出器としてのデバイス特性は6 mGy/hから60 Gy/hの線量率範囲で良好な線形性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は高線量場計測を想定した新規近赤外発光シンチレータの開発を目的としている。これまでレーザー分野などで盛んに研究が行われているペロブスカイト複合酸化物やバナジウム複合酸化物に着目し、近赤外域で高い発光効率を有する単結晶シンチレータの材料探索を行ってきた。また実際の高線量場計測を想定して1時間辺りの線量率を10秒で計測できる測定システムを立ち上げた。この計測系を用いてこれまでに作製したサンプルの近赤外シンチレータとしてのデバイス特性を測定したところ6 mGy/h~60 Gy/hの範囲で線量率の計測に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
技術面における当初の目標は1 mGy~10 Gy/hの範囲で線量率が計測可能な近赤外発光シンチレータの開発なので、更に低い線量率まで測定可能にするため、引き続きホストとなる単結晶の材料探索や発光中心の最適化、測定システムの改良を行っていく。また学術的な観点からは、三年間における研究を通じ、実際に作製した化合物数分の科学・物理的データを蓄積し、化学組成と光物性及び放射線応答特性についての相関性や規則性を考察する。これまで複合ペロブスカイト構造を持つ単結晶やバナジウム酸化物単結晶を母材とした近赤外発光シンチレータを作製してきたので、それらのシンチレーション特性の傾向をまとめ、今後の近赤外シンチレータの設計において参考になるような指標の可能性までを示し、自身の論文としてまとめる。
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Research Products
(8 results)