2019 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental and analytical study on damage behavior of CFRP laminates subjected to simulated lightning current
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19J22413
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
神山 晋太郎 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | CFRP / 雷撃損傷 / マルチフィジックス解析 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CFRP機体構造の雷撃損傷メカニズムの解明を目的として、ジュール発熱、力学的荷重、プラズマ放電の3種類の物理現象に着目して実験的に計測を行い、数値解析を用いた逆解析により熱・電気・力学的な荷重・境界条件を推定する。さらに得られた結果を申請者らが構築してきたマルチフィジックス解析モデルと統合することで、解析モデルのさらなる高度化を図る。 2019年度では、模擬雷撃によるプラズマ放電の進展挙動がCFRPの雷撃損傷に与える影響を解明することを目的に、チャンバーを用いて、大気中、減圧中および窒素中という3種類の異なる雰囲気環境下でのアークエントリー試験(模擬雷撃試験)を実施し、プラズマ放電現象の可視化実験を行った。得られた実験結果からプラズマの進展をモデル化し、現在までの研究成果で確立したマルチフィジックス解析手法に組み込むことで雷撃損傷の数値シミュレーションを実施した。これらの結果、プラズマ放電現象を適切に解析モデルに導入したマルチフィジックス解析モデルは、概ね雷撃損傷挙動を再現することが可能であることを示した。これらの研究成果については、1件の国際会議で報告すると共に、1報の論文が査読付き国際学術誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、雷撃によるジュール発熱が雷撃損傷に与える影響について調査する予定であった。しかしながら、ジュール発熱を実験的に調査するためには、従来行っていたアークエントリー試験ではなく、電流をCFRPに直接印加するコンダクション試験を実施する必要があるため、本年度はその検証を行った。検証の結果、コンダクション試験のジグの作成、印加電流条件の絞り込みなどを行うことができた。研究計画を一部変更したが、本年度で得られた知見をもとに、次年度に達成予定である。 また、本年度は次年度に実施予定であったプラズマ放電が雷撃損傷に与える影響の解明について実施した。チャンバーを用いて、大気中、減圧中および窒素中という3種類の異なる雰囲気環境下でのアークエントリー試験(模擬雷撃試験)を実施し、プラズマ放電現象の可視化実験を行った。得られた実験結果からプラズマの進展をモデル化し、現在までの研究成果で確立したマルチフィジックス解析手法に組み込むことで雷撃損傷の数値シミュレーションを実施した。これらの結果、プラズマ放電現象を適切に解析モデルに導入したマルチフィジックス解析モデルは、概ね雷撃損傷挙動を再現することが可能であることを示した。これらの研究成果については、1件の国際会議で報告すると共に、1報の論文が査読付き国際学術誌に掲載された。 以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度では、模擬雷撃によるジュール発熱が雷撃損傷に与える影響について調査する。過去の研究では、実際の雷撃現象を模擬することに主眼をおいたアークエントリー試験を行っていたが、この試験方法では熱・電気・力学的現象が重畳するため、ジュール発熱の影響を単独で調査することは非常に難しい。そこで本研究では、前年度で検証したコンダクション試験を実施することで、アークの発生を抑制し、電流がCFRP内部を流れることによって発生するジュール発熱の影響に主眼を置き調査する。コンダクション試験では、雷電流がCFRP内部を流れることによる影響を調査するため、SAE ARP 5412Bに準拠したインパルス電流を印加する。その際、高電圧インパルス電圧下における材料の電流-電圧応答を計測する。また、インパルス電流が流れることによって生じるCFRPの電気的材料特性の変化を評価するため、インパルス電流の印加前後に定電流を印加する。高速度カメラと赤外線カメラを異なるフレームレートで撮影することによって、現象の可視化、表面の温度分布履歴の取得を行う。 次に、有限要素法を用いた数値解析を行う。はじめに定電流試験において、電流印加中は熱-電気連成解析を、電流印加後は熱伝導解析を行うことで温度履歴の再現を行う。その際、実験的に取得した材料物性値を使用する。また、電気・熱的境界条件についても検討を行う。次に、定電流試験における数値解析手法をベースとして、インパルス電流試験の温度履歴を計算する。解析結果と実験結果とを比較し、ジュール発熱量を推定し、それが雷撃損傷に与える影響について考察する。 得られた実験結果および解析結果を取りまとめ、学会発表および論文の執筆を行う予定である。
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Research Products
(9 results)