2020 Fiscal Year Annual Research Report
Long term projection of storm surge inundation using upscaling and adaptive mesh refinement
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19J22429
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 信気 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 浸水 / 高潮 / 津波 / 解適合格子法 / 地形アップスケーリング / 抗力 |
Outline of Annual Research Achievements |
項目(1)で都市浸水に適した数値モデルの開発を行う.項目(2)では,最新の気候予測計算を外力として,様々な温暖化シナリオのもと長期積分を実施し,全国スケールでの高潮浸水被害の将来予測を行う.計算結果をもとに,我が国の高潮災害の脆弱域および適応策について評価する. 項目(1-A) 解適合格子法を用いた高潮浸水モデルの開発: 米国ワシントン大学で開発された解適合格子法モデル(GeoCLAW: Geophysical Conservation LAW)をWRFにより計算された気圧風速場を入力できるように改良し,近年の台風(台風201330号,201919号等)を対象に高潮の浸水計算を行った.高潮偏差がやや過小評価ではあるものの,高潮の浸水計算が可能になった.また,更なる応用として領域気象モデルから計算された気圧風速場を外力に,台風202010号を対象に高潮の予報実験を行い,台風強度の誤差及び台風経路の誤差と高潮の誤差の関係について明らかにした. 項目(1-B) 都市域の浸水現象の粗視化手法の開発: 1年次に開発を行った平均化建物抗力モデル(iDFM: individual Drag Force Model)によって再現される津波遡上時の詳細な流況の精度検証を行った.簡易地形を用いた理想化数値化実験,東北地方太平洋沖地震による宮城県女川町市街地の浸水の再現計算,1年次に実施した津波浸水実験の再現計算を実施した.いずれのケースでも,格子解像度にかかわらず最大浸水範囲や浸水深などの大局的な浸水過程が再現可能であることが分かり,実務的な浸水計算にも応用可能であることが分かった.一方で,構造物による遮蔽効果や構造物間の局所的な流れなどはiDFMでは再現されないため,これらの効果が支配的になる場合は,浸水過程の再現が難しく,モデルの改善の必要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,解適合格子法を用いた高潮浸水モデル(GeoClawモデル)の最適化と平均化建物抗力モデル(iDFM)による津波・高潮遡上の検証を実施している.特にiDFMの検証からは誤差特性の検証が概ね終了し,本格的に高潮計算への応用に移行する.これらの結果は,研究計画にほぼ対応しており,おおむね順調に達しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
項目(1-A)については,実際に項目(1-B)で開発した都市域の浸水現象の粗視化手法の結合を行い,項目(2)の全国スケールでの高潮将来予測へと応用する. 項目(1-B)については,適宜市街地浸水モデルの改良を行いつつ,実際の高潮浸水イベントへと応用を行い,検証を行う.
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Research Products
(7 results)