2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J22605
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 興養 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | CAT(0)空間 / 多項式時間アルゴリズム / オーソスキーム複体 / 組合せ最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
CAT(0)立方複体上の測地線を計算する初の多項式時間アルゴリズムを与えた論文A polynomial time algorithm to compute geodesics in CAT(0) cubical complexesがDiscrete & Computational Geometryにアクセプトされた. また, 関連する話題について, FIT(情報科学技術フォーラム)2019のトップコンファレンスセッションにて講演を行った. ブール束に埋め込まれた半順序集合に対して, そのオーソスキーム複体が非正曲率性をもつための組合せ的な必要条件を与えた. この条件は, 任意の2つの元のmeetとjoinが閉じているような部分集合は, それが生成する部分束に対しても閉じていなければならないというものである. ここに, Gromovが与えたフラッグ条件(立方複体の非正曲率性を必要十分に組合せ的に特徴づけるもの)との類似点を見ることができる. 非負行列のスケーリング問題に対して, スケーリング不可能性の証拠を構築するアルゴリズムに関して研究を行った. 行列がスケーリング可能であることと, その行列の非零成分に対応する2部グラフ上で完全マッチングが存在することが等価であることが知られている. 一方で, 既存のスケーリングアルゴリズムによって, スケーリング不可能性(完全マッチングの非存在性)の具体的な証拠を出力できるかどうかについては知られていなかった. 本研究では, Sinkhornのアルゴリズムにより, 入力の行列がスケーリング可能でない場合でも, そのスケーリング不可能性の組合せ的な証拠を構成することができることを示した. その際, DM分解の類似として, 2部グラフ上のパラメトリックな最大重み安定集合問題にもとづいた行列分解の概念を利用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文はアクセプトされ, 講演を行っており, また, 行列スケーリング問題に関する結果を作用素スケーリング問題(正定値行列空間上の最適化問題)に拡張できる期待があるため, 研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
ブール束に埋め込まれた半順序集合に対し, オーソスキーム複体が非正曲率となるための組合せ的な特徴づけを与える. 行列スケーリング問題・作用素スケーリング問題において, 交互最適化を利用したスケーリング不可能性の証拠の構築及びその収束性の解析を試みる.
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Research Products
(2 results)