• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Annual Research Report

最適化理論に基づく免疫学習原理の解明と免疫に学ぶ最適化手法の探索

Research Project

Project/Area Number 19J22607
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

中島 蒼  東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2022-03-31
Keywords免疫学習 / 最適化
Outline of Annual Research Achievements

免疫学習における増殖競争とコンパクト表現の獲得の関係を明らかにするため,本年度においては一旦広い視点から増殖競争によりコンパクト表現が獲得される過程を取り扱おうと試みた.具体的には,コンパクト表現を活用した生き残り戦略である変動環境下でのbet-hedging戦略を考察した.この問題を扱うのは,Fisherの基本定理など数理的な解析が良くなされており,増殖競争とコンパクト表現の関係を見出しやすいと期待できるためである.bet-hedging戦略では,各個体は少ない種類の表現型(タイプ)を確率的に発現することで複雑な環境下で生き残る.この戦略は,似た環境状態はまとめて一つのタイプで対応して生き残るという点で環境のコンパクト表現と見ることができる.本年度では,増殖競争や情報処理により最適なbet-hedging戦略が獲得される過程に関して,数理的な解析を行いその速度の定量化を行った.具体的には,自然選択の速度を集団内での適応度の分散と結びつけるFisherの基本定理をbet-hedging戦略の獲得に拡張した.この拡張では,環境状態が似ているほどbet-hedging戦略の獲得が早いという結果が得られた.この結果は,bet-hedging戦略は似た環境をまとめることでコンパクト表現を得るという解釈と整合的である.免疫系への応用は今後の課題として残されている.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

概要で述べたように,本年度は増殖競争によりbet-hedging戦略というコンパクト表現が獲得される過程を取り扱おうと試みた.これに関して以下のような成果を得た.第一に元々のFisherの基本定理は平均増殖率についての物であるため,これをbet-hedging戦略の良さを測る指標である集団増殖率について拡張した.この定理では進化の早さは各個体の適応度の対数分散という分散を一般化した量と関連付けられる.この準備の下でbet-hedging戦略の獲得についてFisherの基本定理を拡張した.bet-hedging戦略の獲得に関しては,増殖競争のみならず,個体が情報処理を行い戦略を変更する状況も考えるのが自然である.このような情報処理としては,先祖からミームやエピジェネティクな状態として伝わって来た情報を用いるものや環境の感知などが挙げられる.現状ではすべての情報処理が扱えているわけではないものの,前者の情報処理を含む状況まではFisherの基本定理を拡張できている.拡張されたFisherの基本定理において集団増殖率の増分は2つの項で表現される.一つ目の項は先ほどと同じく環境状態の間の対数分散である.もう一つの項は残された部分であるbet-hedging戦略で各タイプを発現する確率の調整に対応していると考えられる.前者はbet-hedging戦略は似た環境をまとめることでコンパクト表現を得るという解釈と整合的である.

Strategy for Future Research Activity

本年度得られた結果である Fisher の基本定理の拡張に関して,残された以下の三つの課題について取り組む.第一に,拡張されたFisherの基本定理では増殖競争と一部の情報処理しか取り扱えていない.例えば,個体が環境を感知しそれによって行動を変えるなどの情報処理が含まれていない.これらの情報処理と増殖競争の関係を広く捉えられる拡張を考えていく必要がある.これを取り扱う上では,増殖系において良く研究されてきた環境感知の適応的価値などとの関連を検討する.二つ目の課題として,この結果を元々考えたかった問題である免疫系へ同応用するかが残されている.増殖競争とコンパクト表現の獲得に関して分かりやすい解釈を与える定理が得られているため,同様の関係が免疫学習を含む他の増殖モデルでもなりたつのか模索する.第三に,増殖競争とコンパクト表現の獲得に関して,環境が高次元な場合どうなるかを考察する.現状の拡張されたFisherの基本定理では,環境が複雑であると想定していたものの,その定量化は与えていなかった.これに関して,環境が高次元であるという複雑さが次元として定量化された状況において,そのコンパクト表現(低次元表現)がどう与えられるかを考えることで,より定量的な考察ができる.このような高次元問題の考察についても取り組んでいく.

  • Research Products

    (3 results)

All 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Multiple Knapsack-Constrained Monotone DR-Submodular Maximization on Distributive Lattice -Continuous Greedy Algorithm on Median Complex-2021

    • Author(s)
      Takanori Maehara, So Nakashima, Yutaro Yamaguchi
    • Journal Title

      Mathematical Programming

      Volume: to appear Pages: 1-35

    • DOI

      10.1007/s10107-021-01620-7

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Lineage EM algorithm for inferring latent states from cellular lineage trees2021

    • Author(s)
      So Nakashima, Yuki Sughiyama, Tetsuya J. Kobayashi
    • Organizer
      Society of Mathematical Biology 2020 Annual Meeting
    • Int'l Joint Research
  • [Book] 細胞の内部状態を探り出す系譜木解析,実験医学増刊 vol.38 no.20 「機械学習を生命科学に使う!」に収録2021

    • Author(s)
      中島蒼,杉山友規,小林徹也
    • Total Pages
      9
    • Publisher
      羊土社
    • ISBN
      978-4-7581-0391-6

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi