2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19J22791
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本永 翔也 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 第一積分 / 周期軌道 / 可積分性 / 非共鳴条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、昨年度に行った、摂動系における周期軌道・ホモクリニック軌道・第一積分および可換なベクトル場の保存に関する研究については、論文としてまとめることができた。 また、本年度中心的に行った、近可積分系の可積分判定条件に関する研究については、「非摂動系が(q,n-q)可積分でかつ作用角変数において角変数が非共鳴条件を満たしながらも周期軌道が稠密に存在するという仮定のもとで、摂動系にn-q個の(摂動パラメータにも解析的に依存する)解析的第一積分が存在するならば、非摂動系の第一積分を摂動項で微分した関数をパラメータづけられた周期軌道に沿って積分することで得られる関数は恒等的に零である」という結果を得た。この結果の対偶を考える事で、(限られた範囲ではあるが)可積分判定条件が得られる。主結果のためには、関数的独立性という研究計画当初には想定していなかった問題を解決しなければならなかったが、1980年代に開発された可積分判定手法であるZiglin解析で用いられたZiglin補題と類似の補題を与える事でこの問題を解決した。Ziglin補題は有理関数に対して成立する補題である一方で、主結果で必要となるのはその解析関数版といえるものであり、単に同じような証明を行うことはできなかったため困難に思われた。しかしながら、主結果の設定がうまく噛み合わさる事で、証明に成功することができた。これらについては学会や研究集会などで発表し、様々な意見をもらうことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の中心課題であった一般の高次元摂動系に対する実用的な可積分判定条件を論じるにあたり、当初の研究計画の際には想定していなかった関数的独立性に関する議論が大きな問題となっていたが、本年度中にこれを解決することができたため、おおむね順調な進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
可換なベクトル場の存在も含めた可積分性の判定の議論が残された課題であるので、これを解決する。また、得られた結果をメルニコフの方法と比較して、メルニコフ関数に関して新たな事実をえるとともに、ダフィング方程式に適用して、これまでメルニコフ解析では適用できなかったパラメータの範囲においてもその非可積分性を示す。
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Research Products
(1 results)